発信者情報開示命令取消請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和5(ワ)70165
判決日2024-01-16
分類知的財産 / 商標
判決種別判決

この事件の代理人

  • 中島徹(原告代理人)/第一東京弁護士会

争点(判決文より)

争点
(1) 権利侵害の明白性(争点 1)
(2) 「侵害関連通信」の範囲(争点 2)
3 争点に関する当事者の主張
(1) 争点 1(権利侵害の明白性)について
〔被告の主張〕
本件発信者は、本件各投稿により、被告になりすましてギフトカードのトレード
を呼び掛けている。これにより、被告には、本件サイトの使用者に注意喚起を行わ
なければならないという不利益が生じると共に、被告の営業上の信用が損なわれて
いるから、本件発信者の上記行為は被告の営業権を侵害している。また、その結果、
被告は、基本事件の申立てを余儀なくされたことによる手続費用の損害及び対応の
ために通常業務ができなかったという損害を被った。したがって、本件発信者の上
記行為により被告の権利が侵害されたことは明らかである。
〔原告の主張〕
不知。
(2) 争点 2(「侵害関連通信」の範囲)について
〔被告の主張〕
原告は、「侵害関連通信」は規則 5 条各号に掲げる通信ごとにそれぞれ 1 つにな
ると主張する。
しかし、被告は、別件の手続において、本件発信者情報 1 のように、「ログインの
際に使用した IP アドレス及びタイムスタンプのうち、〇月〇日以降のもの」とし
て、コンテンツプロバイダ(以下「CP」という。)から開示を受け、アクセスプロ
バイダ(以下「AP」という。)に対して開示請求したところ、最終的に契約者を特
定できたのは対象となるログイン通信の約 10%であった。また、このように AP に
おいて契約者の特定ができなかったとしても、再度の開示命令の申立てはできず、
仮にできたとしても、ログイン履歴は保存期間の経過により順次削除される。
仮に「侵害関連通信」が 1 つに限られる場合、侵害投稿後のログインによって投
稿を行うことはあり得ず、投稿に用いられたのはいかなる場合でも投稿直前のログ
インであるから、当該 1 つの「侵害関連通信」を本件発信者情報 3 のように侵害情
報の送信直前のログイン通信(以下「直前通信」という。)とすることは理解し得る。
しかし、現在の発信者情報開示命令手続においては、「侵害関連通信」が 1 つに限ら
れるとの解釈を前提に、本件発信者情報 2 のように侵害情報の送信と最も時間的に
近接するログイン通信(以下「最近接通信」という。)又は直前通信のいずれかのパ
ターンで発令されるのが一般的である。このため、「侵害情報の送信と相当の関連性
を有する」ログイン通信は 1 つに限定できず、「侵害関連通信」が 1 つに限られると
の解釈を規則 5 条の「侵害情報の送信と相当の関連性を有する」との文言から読み
取ることはできない。また、侵害投稿前であるが直前通信ではないログイン通信で
あれば開示が認められないのに、より投稿から遠いアカウント作成通信であれば規
則 5 条 1 

主文(判決文より)

1 当事者間の東京地方裁判所令和 5 年(発チ)第 10015 号発信者情報開示命令
申立事件について、同裁判所が同年 3 月 7 日にした決定を次のとおり変更する。
(1) 原告は、被告に対し、別紙発信者情報目録記載 2 の情報を開示せよ。
(2) 被告の上記事件に係るその余の申立てを却下する。
2 訴訟費用(前項の事件の手続費用を含む。)は、これを 2 分し、その 1 を原告
の負担とし、その余を被告の負担とする。
3 原告のために、この判決に対する控訴のための付加期間を 30 日と定める。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。