事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成29(う)642 |
| 判決日 | 2018-10-31 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点を,①被告人の行為 がAの死亡結果をもたらす危険性のある行為であったか(実行行為該当性),②そ の危険が現実化した結果,Aが死亡したか(因果関係の有無),③被告人が行為に 及んだ際,内心に殺意を抱いていたか(殺意の有無),④被告人の行為が社会的に 相当な行為であったといえるか(正当行為該当性)の4点に整理した。 ⑶ 原審裁判所は,合意書面となった書証等のほか,関係する証人の尋問(その 中には,後に詳しく言及する,Aの死因に関する専門家の証人尋問も複数含まれて いる。),被告人質問を遂げ,原判決を言い渡した。 2 原判決の内容 ⑴ 罪となるべき事実の要旨 原判決が認定した罪となるべき事実の要旨は,被告人は,平成26年7月12日 頃,本件居室において,かつて交際しており,当時も被告人方を訪れるなどしてい たAが急に被告人の手を口に入れて噛んできたため離そうとしたが,手がAの口か - 2 - ら抜けなかったことから,とっさにAを失神させようと考え,Aの背後に回って左 腕でAの頸部を絞め始めたが,そのうち,Aが死亡するかもしれないが,それでも 構わないという心理状態に至り,そのままAの頸部を絞め続け,よって,その頃, 同所において,Aを頸部圧迫による窒息により死亡させた,というものである。 ⑵ 原判決の判断の方法 原判決は,本件の各争点について判断するためには,その前提として被告人の行 為がどのようなものであったかを認定する必要があるが,Aの死因自体が争われて いる本件においては,まずは,法医学及び薬学の専門的知見を踏まえて,客観的証 拠からAの死因を検討し,その中で,被告人供述の信用性も検討しつつ,被告人の 行為がどのようなものであったかを認定する必要があるとした。 通常,被告人の行為が問題になる以上,被告人がどのような供述をしているかが まず問題とされる(特に相手が死亡している事案では,他方の事件当事者である死 亡者から事情を聴くことができない。)が,本件では,検察官と弁護人の間で,被 告人の行為や死因について激しく争われたことから,客観的に死因を解明し,その 結果を基礎に被告人の行為を認定するという手法を採ったものと思われる。もっと も,被告人の供述の信用性にも大きく関わるから,ここで,原審における被告人の 供述内容を確認しておく。 ⑶ 被告人の原審公判供述の内容 本件事件当時の状況に関する被告人の原審公判供述(以下「被告人供述」とい う。)の概要は,次のとおりである。 本件当日,被告人が,うたた寝をしていたところ,Aが,「こんな表現しかでき なくてごめんね。」と言い,被告人の右手を飲み込むように口の中に入れて噛んで きた。被告人は,左手でAの口をこじ開けようとするなどして右手を抜こうとした が,抜けなかった。そこで,とっさに,Aを落とそう(失神させ
主文(判決文より)
原判決を破棄する。 被告人は無罪。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。