事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成30(う)581 |
| 判決日 | 2018-11-07 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
- 中村和洋(被告代理人)/大阪弁護士会
争点(判決文より)
争点であるから,その後改めて被告人に対する犯則調査が任意でな され得るとしても,そのことによりそれ以前にBが覚知した手段の違 法性が減じることはなく,原判決が,被告人の所得税法違反の犯則調 査として任意調査が可能であったという指摘には意味がない,などと いう。 まず,①について検討すると,別件犯則事件の内容が明らかにされて いないことから,Bにおいて,本件口座情報を同犯則事件と無関係と 知りながら持ち帰ったとまで断定することはできないが,JRAから 個人口座への多額の入金が通常は馬券の払戻金であることが容易に想 定され得る本件口座の取引内容をみれば,これが他の犯則事件と具体 的に関係するとの疑いを生じさせる可能性は小さいとみられることか ら,Bが本件口座情報を持ち帰ったのは,原判決も指摘するように被 告人に対する所得税法違反の調査を主眼としていた可能性が考えられ, 違法であった疑いが残るというべきである。所論は,そのような事情 からみても,別件犯則事件にかこつけてそれ以外のほ脱犯の発見のた めに本件口座の調査が当初から行われたというけれども,上記事実だ けからそのように決めつけることはできないのであって,論理の飛躍 がある。Bは,別件犯則事件の調査を行っていた際に本件口座を発見 したと供述しているところ,Bのこの点の供述が虚偽であることをう かがわせる具体的事情は認められない上,被告人は,JRAから多額 の払戻金を得たことを誰にも話していなかったし,分不相応な浪費を していなかったというのであるから,国税当局が,当初から,被告人 を狙い撃ちにしようとして本件調査を開始したとは考え難い。そうす ると,仮に,本件口座情報の持ち帰りにつき違法があったとしても, そのこと自体から,本件口座を含む当初からの調査全体が違法となる とみることはできない。所論を採用することはできない。 次に,所論②について検討すると,所論は,本件口座の調査について は,銀行の同意がなかった可能性がある旨いうが,Bにおいて,銀行 の同意や協力なしに,勝手にA銀行のようなインターネット銀行の業 務用機械を操作するなどして,自ら目的とする調査対象の預金口座の 情報等を取得することは相当に困難であるとみられることから,少な くともそれらの機械操作の相当部分は,銀行の担当者ないしその協力 下において行われたものと考えられるし,Bが銀行あるいは上記担当 者に対して強硬な要求をして本件口座を含む情報に対する調査に無理 やり応じさせたこともうかがわれないから,本件では,銀行の特段の 瑕疵のない同意の下での調査がなされたとみるべきである。そして, 所論は,銀行が同意していたとしても本件口座調査の違法性は軽減さ れないと主張するが,原判決は,同意の存在によって,直ちに違法性 が軽減されると説示しているのではな
主文(判決文より)
本件控訴を棄却する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。