殺人被告事件

事件の基本情報

裁判所最高裁判所
事件番号令和3(あ)319
判決日2022-11-21
分類最高裁
判決種別判決

この事件の代理人

  • 山本衛(被告代理人)/第一東京弁護士会

争点(判決文より)

争点及び当事者の主張
被告人が、平成28年8月9日午前1時過ぎに帰宅した後、119番通報した同
日午前2時45分頃までの間に、被告人方で、Aが頸部圧迫により窒息死したこと
や、その当時被告人方にいたのは被告人とAのほかには幼い子供らだけであったこ
とには争いがなく、Aの死因が、被告人が頸部を圧迫したことによる他殺か、A自
身が首をつったことによる自殺かという、事件性が争点とされた。なお、Aは左前
額部に出血を伴う挫裂創(以下「前額部挫裂創」という。)を負っており、これが
死因ではないことにも争いはなかった。
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検察官は、被告人が、帰宅後、Aとトラブルとなって突発的に殺意を抱き、被告
人方1階の寝室に敷かれたマットレス(以下「本件マットレス」という。)上で、
背後から腕でAの頸部を圧迫して窒息させ、Aが窒息死するまでの間に、意識を失
ったAを階段から落下させるなどの偽装工作を行い、その際に前額部挫裂創を負わ
せた旨主張した。
弁護人は、主として被告人の供述に基づき、被告人は、帰宅後、包丁を持ったA
ともみ合いになり、本件マットレス上でAを押さえ付けたが、Aが再び起き上がっ
て包丁を持ったことから、2階の子供部屋に入りドアを閉じて待った、その間、ド
アの外からは「ドドド」などという物音がし、しばらくして子供部屋から出ると、
Aが階段の手すりに被告人のジャケットを巻き付け、それに首を通して自殺を図っ
ていた旨主張した(以下、これを「本件自殺の主張」という。)。
3 第1審判決
第1審判決は、本件公訴事実どおりの犯罪事実を認定して、被告人を懲役11年
に処した。その事実認定の理由の要旨は、次のとおりである。
窒息を伴う態様で頸部圧迫されてから二、三分が経過した窒息の第2期(呼吸困
難及び痙攣期)の後半になると、尿失禁が生じたり、血液が唾液に混じったりする
ことがある。本件マットレスに、尿斑や唾液混じりの血痕という窒息第2期後半の
痕跡がそろっており、それ以外に被告人方に窒息第2期後半の痕跡が見当たらない
ことや、被告人の右腕に7か所の表皮剥脱があり、Aの指の爪の付着物から被告人
とAの混合DNA型と矛盾しないDNA型が検出されたことなどからすれば、被告
人が本件マットレス上でAの頸部を圧迫して窒息死させたことが推認される(以
下、これを「本件推認」という。)。尿斑や唾液混じりの血痕が窒息第2期後半以
外の事情から生ずる可能性があり得ないとはいえないが、本件自殺の主張を前提と
し、Aが前額部挫裂創を負った後に自殺を図ったとすると、被告人方の血痕の付着
箇所が限られた範囲(寝室、洗面所、階段、階段下の合計15か所)にとどまって
いるのは説明が困難であること(以下、このことを「現場血痕の不整合」とい
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う。)などからすれば、自殺の可能性は抽象的なものに

主文(判決文より)

原判決を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差し戻す。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。