生活保護費返還決定処分取消請求控訴事件(原審・横浜地方裁判所平成19年(行ウ)第86号)

事件の基本情報

裁判所東京高等裁判所
事件番号平成21(行コ)360
判決日2010-03-23
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

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争点(判決文より)

本件の争点(本件保護決定の時点(平成16年4月8日)における控訴人の資
力の有無)に関する当事者の主張は,次のとおりである。
(被控訴人の主張)
ア 生活保護は,生活に困窮する者が利用し得る資産,能力その他あらゆる
ものを,その最低限度の生活の維持のために活用することを前提に保護の
要否を判断すべきものとされており,このような生活保護の補足性に照ら
せば,本件のように加害者に対し,損害賠償請求権を有する場合には,加
害者が賠償をなし得る限り,同権利を行使して損害賠償金を受領すること
が可能なのであるから,同権利を「利用し得る資産」と評価し,損害賠償
責任の範囲に争いがあるなど,その権利実行に支障がある場合には,法4
条3項にいう「急迫した事由」があるものとして,生活保護受給資格を認
めるのが妥当である。
この点,最高裁昭和46年6月29日第三小法廷判決・民集25巻4号
650頁は,「交通事故による被害者は,加害者に対して損害賠償請求権
を有するとしても,加害者との間において損害賠償の責任や範囲等につい
て争いがあり,賠償を直ちに受けることができない場合には,他に現実に
利用しうる資力がないかぎり,傷病の治療等の保護の必要があるときは,
同法4条3項により,利用し得る資産はあるが急迫した事由がある場合に
該当するとして,例外的に保護を受けることができるのであり,必ずしも
本来的な保護受給資格を有するものではない。それゆえ,このような保護
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受給者は,のちに損害賠償の責任範囲等について争いがやみ賠償を受ける
ことができるに至つたときは,その資力を現実に活用することができる状
態になつたのであるから,同法63条により費用返還義務が課せられるべ
きものと解するを相当とする。」と判示している。
イ 本件において,控訴人は,本件事故後平成16年6月までに加害者ら3
名から合計345万円の損害賠償金の支払を受け,その後,控訴人からの
一括請求や調停の開始によりその支払が中断されたものの,本件和解によ
り,平成19年2月末までに1613万7324円の支払を受けているこ
と,本件民事訴訟が本件和解で終了するまでに相当期間経過しているもの
の,その間に加害者らが自らの責任を否定する主張を繰り返し,本格的に
損害賠償責任を争った形跡はうかがえないことからすれば,控訴人が加害
者らに対して有していた損害賠償請求権は十分に実現可能で,法4条1項
の「資産」と評価するに足りるものである。
控訴人は,本件保護決定時において,利用し得る資産はあるが急迫した
事由がある場合として法4条3項により生活保護受給資格を認められたも
のであるから,「資力」があったので本件決定に違法はない。
(控訴人の主張)
被控訴人の主張は争う。
本件事故の加害者らが本件事故に関して一切争わないのであれば

主文(判決文より)

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。