各生活保護変更決定取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成19年(行ウ)第75号,第94号ないし第102号,104号,105号)

事件の基本情報

裁判所東京高等裁判所
事件番号平成20(行コ)265
判決日2010-05-27
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文憲法25条、憲法25条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は,(1)厚生労働大臣が保護基準を改定して老齢加算を廃止した
こと,及びこれに基づいて各福祉事務所長が給付を減額した本件各決定を行っ
たことが,法56条に違反するか否か,(2)本件各決定が,「要保護者の年
齢,性別,健康状態等その個人又は所帯の実際の必要の相違を考慮」せず,控
訴人らの「健康で文化的な最低限度の生活」「健康で文化的な生活水準」の水
準を切り下げ,これを下回る生活を強いるものであり,憲法25条,法1条,
3条,9条,「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約」(以下「社
会権規約」という。)に違反するか否かであり,この点に関する当事者の主張
は,以下のとおりである。
1 厚生労働大臣が保護基準を改定して老齢加算を廃止したこと,及びこれに基
づいて各福祉事務所長が給付を減額した本件各決定を行ったことが,法56条
に違反するか否か
(1) 保護基準の改定に係る厚生労働大臣の裁量と法56条の関係等について
(控訴人らの主張)
ア 憲法25条があくまで国民の権利として生存権を保障していることから
すれば,これを単なる政治的宣言(プログラム規定)であると解するのは
相当でなく,少なくとも生存権はこれを具体化する立法を要請し,当該立
法に具体化される抽象的権利であって,立法化された内容が具体的な権利
内容として保障されると解すべきである。
憲法25条1項にいう「健康で文化的な最低限度の生活」という概念
は,「一ヶ月当たり金何円で営む生活」という形で憲法上,一義的に定ま
るということは言えなくても,マーケットバスケット方式を初めとする理
論生計費算定方式によって,その金額を具体的に算定することが可能なも
のであり,一定の幅を持った概念としては,憲法25条1項の解釈として
も定まるものであって,生活保護法に基づく給付額が,この一定の幅から
も逸脱して低いということになる場合には,生活保護法8条に違反するだ
けではなく,憲法25条に違反するということになるのである。そして,
一定の幅があるといっても,理論的に我が国における現在の最低生活費を
算出しようとする以上は,そこにそれほど大きな差異が生じるとは考えに
くいのである。
イ 生活保護法は,同法1条及び3条に示された同法の目的を制度の現実に
おいて達成するためには,最低生活の需要を満たすに十分なものとなる保
護基準を明確に定めることが何よりも重要であり,保護基準をどう定める
かは制度の性格を決定する重大な問題であるという観点から,厚生労働大
臣が保護の基準を定立する権限を有する根拠規定として,法8条を設けて
いる。
法8条は2項からなり,1項は,「保護は,厚生労働大臣の定める基準
により測定した要保護者の需要を基とし,そのうち,その者の金銭又は物
品で満たすことのできない不足分を補う程度において行

主文(判決文より)

1 原判決のうちH事件控訴人P1に関する部分を取り消す。
2 本件訴訟のうちH事件控訴人P1に関する部分は,平成▲年▲月▲
日,同控訴人の死亡により終了した。
3 その余の控訴人らの控訴をいずれも棄却する。
4 控訴費用は控訴人ら(H事件控訴人P1を除く。)の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。