事件の基本情報
| 裁判所 | 東京高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成21(ネ)1254 |
| 判決日 | 2010-11-24 |
| 分類 | 労働 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点及びこれに関する当事者の主張は,下記3に当事者の当審に おける主張を付加ないし補足するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第2 の1項から3項まで(原判決2頁18行目から同16頁9行目まで。ただし, 原判決6頁2行目及び同7頁10行目の「教員就業規則」をいずれも「教職員 就業規則」に改め,同13頁15行目の最初の「影響を」を削除する。)に記 載のとおりであるから,これを引用する。 3 当事者の当審における主張 (1) 控訴人 ア 責任著者の責任といっても,①単著論文の場合,②共著論文で自らも実 - 2 - 験に関与した場合,③共著論文で自ら実験を行っておらず,筆頭著者らが 実験を行っていた場合などに場合分けをして検討すべきである。本件は, ③の場合であり,責任著者が他の研究者の実験結果の確認にどの程度関与 して,監督するべきかという問題である。Aの過去の研究実績及び力量等 に基づく客観的信頼関係の存在やAの専門分野という本件各論文の内容 等を前提として,科学研究現場における教授と助手の役割分担という一般 的な取扱状況にかんがみれば,監督者的立場にある控訴人の責任,注意義 務の及ぶ範囲は,自ずと一定の範囲に限られるべきである。 科学界では,実験担当者の実験部分に問題があった場合,実験担当者と そうでない責任著者は,同等の責任を負うとは解されていない。これは, まず,問題を意図的ないし重過失的に発生させた実験担当者は厳格に処分 されるべきであるが,責任著者の過ちは意図的なものではないから,処分 に対する酌量の余地が大きいといえるからである。また,実験担当者の意 図的で巧妙な過ちを責任著者が事前に発見し,論文発表前に完全に防ぐこ とはおよそ不可能であり,仮に責任著者が意図的に過ちを犯していないに もかかわらず,実験担当者と同等の責任が問われるとすれば,共同研究や 学際的研究は後退し,科学研究の発展が著しく妨げられ,社会的萎縮とい う負の効果は多大なものになってしまうからである。 イ 被控訴人から指定された期間内においては,控訴人らの再実験で本件各 論文の再現性を正確に確認することはできなかったが,それだけでは本件 各論文に再現性がないという断定はできない。むしろ,今日に至るまでに 控訴人研究室関連の発展研究や外部研究室による同種の後発研究の研究 - 3 - 成果が論文として多数発表されているという事実からして,現時点では本 件各論文の再現性が確認されているというべき状況にある。そうすると, 控訴人の責任として検討されるべきは,再現性のない論文を発表したこと ではなくて,実験ノートが発見されないなど実験関係資料の不足によって 本件各論文について再現性を直接確認する材料に乏しい状況にあるとい う点に尽きるところ,実験ノートを提出できないことは,Aの責任であっ て,
主文(判決文より)
1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は,控訴人の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。