政務調査費返還請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成26年(行ウ)第209号)

事件の基本情報

裁判所東京高等裁判所
事件番号平成27(行コ)110
判決日2015-09-17
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及び当事者の主張は,次項において
当審における控訴人の主張を加えるほかは,原判決「事実及び理由」欄の
「第2 事案の概要」の1項から3項までに記載のとおりであるから,こ
れを引用する。
4 当審における控訴人の主張
(1) 政務調査費に係る支出が交付金額に達した時点以降は当然に,政務
調査費に係る支出をした場合であっても確定的に私費負担となるという
考え方は不自然であるようにもみえるが,政務調査費制度については,
その実態が,本来の趣旨から外れ,議員による濫用が容易に行われ,あ
るいは行われ得るものという認識を持って検討することが必要である。
そして,上記濫用を抑制しているのは,市民オンブズマンによる監視活
動であるところ,その活動は,情報公開請求により開示された領収書等
を劣悪な環境下で確認し,疑義があると現地調査を行うといったことを,
個人が費用を負担し相当に時間を掛けて行っているものである。政務調
査費に係る支出金額が増え,その全てについて監査する必要があるもの
とすれば,市民オンブズマンの負担は増加し,その監査の力を減衰させ,
政務調査費の透明性を低下させることとなる。原審の判断は,このよう
な結果を招来するものであり,誤りである。議員としても,最初から適
正な支出を交付限度額一杯に計上すればいいだけであり,政務調査費と
して認められない支出を混在させたり,限度額到達後もそのような支出
を延々と計上したりすることは,不要であるだけでなく,透明性を失わ
せるだけである。
(2) 被控訴人は,本件条例12条にいう「政務調査費による支出の総額」
とは,本件訂正前報告書では192万3034円であり,本件訂正後報
告書では166万8034円であるとするが,原判決は,前者が192
万円で,後者が166万5000円と認定したものである。この原判決
の認定では,3034円を政務調査費に繰上げ計上しなければ残余額が
ゼロとならないところ,被控訴人は繰上げ計上はしていないと主張して
いるのであるから,A議員はなお3034円を不当利得しているという
べきである。
(3) 杉並区では,政務活動費について,平成27年度から,交付額の範
囲内で収支報告をするよう努めるものとするとして,収支報告に係る事
務の取扱いを変更した。これは,使途基準に反する支出を申告した議員
にはその支出全額の返還を求めるべきであるという規範意識の現れであ
り,これに照らしても,A議員は更に3034円を杉並区に返還すべき
義務があると解すべきである。

主文(判決文より)

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。