事件の基本情報
| 裁判所 | 東京高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成29(う)1072 |
| 判決日 | 2017-12-14 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
- 柳原由以(被告代理人)
争点(判決文より)
争点は,本件各犯行について,被告人 に責任能力を認めることができるかどうかであって,被告人が特定の疾病に 罹患しているか否かそれ自体ではない。被告人が解離性同一性障害に罹患し ているとするL意見においても,主人格と別人格の交替が起こることは珍し くなく,短時間で入れ替わる場合も,1日程度は入れ替わらない場合もある とされており,また,主人格が出現している状態の被告人の責任能力に疑問 を抱かせる医学的所見がないことは,L意見の前提となっている。したがっ て,L意見によっても,被告人が解離性同一性障害に罹患していると認める ことで直ちに本件各犯行当時の人格状態が別人格であって被告人の責任能力 に疑問が生ずることにはならない。そうすると,本件において検討すべきな のは,本件各犯行がどのような人格状態の下で行われたのかという点である ことになる。原判決の判文全体を通じて見れば,ここに述べたところと同様 の理解・前提に立脚していることは明らかであり,被告人が解離性同一性障 害に罹患しているかどうかについての判断を明示せずに本件各犯行当時の人 格状態についての検討を行っている原判決には,所論のような批判を受ける べき謂れはない。 ⑶ 被告人の本件各犯行当時における行動が解離性同一性障害に基づく別 - 4 - 人格によるものであると考えると説明が困難となる事情の有無について ア 既に述べたとおり,原判決は,被告人の本件各犯行当時における行動 が解離性同一性障害に基づく別人格によるものであると考えると説明が困難 となる事情が複数あることを説示しており,所論は,それを批判しているの で,次に,この点を取り上げるが,それらの点についての判断の前提ともな るので,先に,本件各犯行がどのような人格状態の下で行われたのかについ てのK意見とL意見の内容を見ておくことにする。 イ 本件各犯行当時の人格状態に関するK意見とL意見について この点についてのK意見の内容は,上記のとおり,「本件各犯行当時 において,解離性同一性障害による別人格の状態にあったとすると,客観的 な情報とは矛盾が生じてしまうことから,別人格による行動である旨を示唆 する被告人供述の信憑性については疑問があると言わざるを得ない」という ものであり,被告人の記憶の最も保持されている原判示第6事実の件を例と して,被告人の説明では,女装道具や知人とのLINEのやり取りの関係で, 明らかに無理が生じ,「解離」によっては,それを合理的に説明できないこ と等を指摘して,この件は,被告人が平素の人格状態の下で主体的・能動的 に行ったものであり,他の一連の犯行についても同様であると考えるのが妥 当であるなどとしているところ,その内容は合理的で説得力に富んでいる。 また,被害者らの説明によって確認される限り,昏酔強盗の加害者として合
主文(判決文より)
本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中170日を原判決の刑に算入する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。