事件の基本情報
| 裁判所 | 東京高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成30(行コ)125 |
| 判決日 | 2018-09-12 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点及び当事者の主張 次のとおり当審における当事者の補充主張を付加するほか,原判決の「第2 事案の概要等」3(2)記載のとおりであるから,これを引用する。 (被控訴人) (1) 土地収用法88条の補償対象 事業計画認可等の告示から収用裁決までの家賃減収が,土地収用法88条 の補償の対象となることは,同法の逐条解説にも記載されている。 事業計画認可等の告示がされると,起業者が周知のため看板を立て,隣接 地を任意買収してフェンスを設置するなど,道路予定地であることが一見し て明らかになる。建物を賃借する事業者は,事務所や店舗の移転によって, 移転費用,関係機関への手続,取引先への挨拶状の作成,名刺や封筒等の変 更など多くの負担を伴い,場所の変更で顧客を失う可能性もあり,退去を迫 られる可能性がある物件をあえて選択することはない。告示により賃貸人に 家賃減収の損失が生じることは,社会常識として当然予想される事態であり, 補償の対象とすべきは当然である。 (2) 本件建物における告示後の家賃減収 本件建物は,本件告示の後,いつ明渡しを求められるか不確定・不安定な 物件となり,賃借人の確保が困難となって,得られるはずの家賃に減収が生 じた。実際に契約できたテナントは,短期間,一時的に使用する希望があっ た事業者である。賃料を大幅に値下げして一時的に継続したテナントもあっ たが,そのテナントも賃料を滞納して退去した。そもそも,賃借しなかった 事業者にその理由を確認することは不可能であり,本件告示のために募集を してもテナントが入らない場合などに,家賃減収の発生を具体的に主張立証 することは,極めて困難であることを考慮すべきである。なお,1年ごとに 更新されるみなし告示日より前に本件建物を賃借した賃借人は,補償を受け ることが可能であるとしても,リスクがあるテナント物件であることに変わ りはない。 被控訴人は,本件建物の1階,4階及び5階について,3年の定期借家と してテナント募集をしたが,この条件はよくあることで,家賃減収の原因で はない。2階のワイズとの契約書に,「借主は退室依頼を受けた時は,トラブ ルなくすみやかに退室すること。」との記載があるが,これは本件告示のため に記載せざるを得なかったもので,この記載が原因で家賃が減額されたので はない。4階及び5階の契約書に,「この契約は,収用調査終了後の締結であ るため,転居に伴う費用,補償金等は東京都及び貸主から一切支払われない」 とあるのも同様である。被控訴人は,4階及び5階を一括でテナント募集し ていたが,これは従前の賃借人が一括で賃借していたからで,状況に応じて 4階のみを賃貸しており,募集方法が家賃減収の原因ではない。 (3) 建物移転に伴う家賃減収の算定基礎となる賃料 家賃減収に対する補償の算定基礎となる賃料
主文(判決文より)
1 原判決中被控訴人の予備的請求に関する部分を次のとおり 変更する。 2 東京都収用委員会が平成28年1月29日付けでした別紙 物件目録記載1の土地に係る収用の裁決における被控訴人に 対する損失補償額を2億0305万4084円から2億10 69万7872円に変更する。 3 控訴人は,被控訴人に対し,764万3788円及びこれ に対する平成28年7月12日から支払済みまで年5分の割 合による金員を支払え。 4 被控訴人のその余の予備的請求を棄却する。 5 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを8分し,その1を 控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。