事件の基本情報
| 裁判所 | 東京高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成29(う)974 |
| 判決日 | 2018-11-19 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
争点(判決文より)
争点について,大要,以下に述べ るような理由から,否定し,被告人の行為は罪とならないとして,被告会社及び被 告人に対し,無罪を言い渡している。 - 2 - ⑴ア 原判決は,本法66条1項にいう記事の「広告」,「記述」,「流布」は, 同項の規制対象である広義の広告,すなわち,顧客を誘引するための手段として広 く世間に告げ知らせる行為を,3つの態様に書き分けたものであると解している。 そして,原判決は,「顧客を誘引するための手段」を,記事の対象が医薬品等であ ることに即して,「情報受領者の購入意欲(処方薬に関しては,医師の処方意欲を 含む。以下同じ。)を喚起・昂進させる手段」と言い換えた上で,そのような手段 としてなされたものであるか否かについては,行為者の意図や目的を探求するとい うのではなく,(受け手において医薬品等を特定するに足りる情報が表示されてい るという意味での)特定性の有無,程度や(不特定又は多数の者が認知し得る状態 であるという意味での)認知性の有無,程度をも考慮しつつ,その行為の体裁,内 容等を客観的にみて,情報受領者の購入意欲を喚起・昂進させる手段としての性質 を有するか否かによって判断すべきとしている。 イ そして,原判決は,本法66条1項にいう記事の「広告」とは,前記広義の 広告に該当する行為の中でも,典型的な広告,すなわち,情報受領者の購入意欲を 喚起・昂進させる手段としてなされるものであることが外形的にも明らかな体裁, 形式で,新聞,雑誌,テレビ等のマスメディアや屋外広告物のような不特定かつ多 数人による認知が可能な媒体を通じて,広く医薬品等についての情報を提供する行 為であると解している。他方,同項にいう記事の「記述」及び「流布」とは,体裁 や形式,情報伝達方法,情報の被提供者の特定性等の点から典型的な広告に当たる とはいい難い面があるものの,商品である医薬品等について情報受領者の購入意欲 を喚起・昂進させる手段としての性質を有する情報提供行為であると解し,そのう ち,少なくとも新聞,雑誌,ウェブサイト等に記事を掲載する行為は,記事の「記 述」に当たると解している。 ⑵ 原判決は,以上の解釈を前提に,本件各論文を作成させて,本件各学術雑誌 に投稿させ,掲載させた行為には,前記⑴アの特定性と認知性は認められると判示 している。 - 3 - しかし,需用者の購入意欲ないし処方意欲を喚起・昂進させる手段としての性質 を有するか否かについては,①一般に,学術論文を作成して学術雑誌に投稿し,掲 載させるという行為は,研究成果の発表行為として理解されていること,②少なく とも査読を必要とする学術雑誌においては,当該学問領域の専門家による論文の評 価を経て,掲載に値すると判断されて初めて掲載されるのであって,情報提供者が 金銭的な費用を負担するこ
主文(判決文より)
本件各控訴を棄却する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。