否認権行使請求事件

事件の基本情報

裁判所最高裁判所
事件番号平成23(受)462
判決日2012-10-19
分類最高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点は,破産者の代理人である弁護士が被上告人を含む債権者一般に対し
て債務整理開始通知を送付した行為が,破産法162条1項1号イ及び3項にいう
「支払の停止」に当たるか否かである。
2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 東京都の職員であるAは,平成21年1月18日,弁護士法人B法律事務
所に対し,債務整理を委任し,同法律事務所の弁護士ら(以下「本件弁護士ら」と
いう。)は,その頃,Aの代理人として,Aに対して金銭を貸し付けていた被上告
人を含む債権者一般に対し,債務整理開始通知(以下「本件通知」という。)を送
付した。
本件通知には,債権者一般に宛てて,「当職らは,この度,後記債務者から依頼
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を受け,同人の債務整理の任に当たることになりました。」,「今後,債務者や家
族,保証人への連絡や取立行為は中止願います。」などと記載され,Aが債務者と
して表示されていた。もっとも,本件通知には,Aの債務に関する具体的な内容や
債務整理の方針は記載されておらず,本件弁護士らがAの自己破産の申立てにつき
受任した旨も記載されていなかった。
(2) Aは,平成21年2月15日から同年7月15日までの間,被上告人に対
し,合計17万円の債務を弁済した。
(3) Aは,平成21年8月5日,破産手続開始の決定を受けた。
3 原審は,本件通知を送付した行為は破産法162条1項1号イ又は3項にい
う「支払の停止」には当たらないと判断して,上告人の請求を棄却した。
4 しかしながら,原審の上記3の判断は是認することができない。その理由
は,次のとおりである。
破産法162条1項1号イ及び3項にいう「支払の停止」とは,債務者が,支払
能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払をすることができないと考えて,
その旨を明示的又は黙示的に外部に表示する行為をいうものと解される(最高裁昭
和59年(オ)第467号同60年2月14日第一小法廷判決・裁判集民事144
号109頁参照)。
これを本件についてみると,本件通知には,債務者であるAが,自らの債務の支
払の猶予又は減免等についての事務である債務整理を,法律事務の専門家である弁
護士らに委任した旨の記載がされており,また,Aの代理人である当該弁護士ら
が,債権者一般に宛てて債務者等への連絡及び取立て行為の中止を求めるなどAの
債務につき統一的かつ公平な弁済を図ろうとしている旨をうかがわせる記載がされ
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ていたというのである。そして,Aが単なる給与所得者であり広く事業を営む者で
はないという本件の事情を考慮すると,上記各記載のある本件通知には,Aが自己
破産を予定している旨が明示されていなくても,Aが支払能力を欠くために一般的
かつ継続的に債務の支払をすることができないことが,少なくとも黙

主文(判決文より)

原判決を破棄する。
被上告人の控訴を棄却する。
控訴費用及び上告費用は,被上告人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。