覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件

事件の基本情報

裁判所最高裁判所
事件番号平成24(あ)724
判決日2013-10-21
分類最高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は,本件スーツケースの中に覚せい剤を含む違法薬
物が収納されていることを被告人が認識していたかどうか(以下,この認識を単に
「知情性」という。)にある。
検察官は,①被告人が本件スーツケースに隠匿された本件覚せい剤を日本に持ち
込んだという事実自体から被告人の知情性が強く推認される(本件に薬物密輸組織
が関与していることは明らかであるところ,同組織は確実な回収方法をとるはずで
あって,運搬者が知らないうちに荷物の中に紛れ込ませるような方法をとるはずが
ない。本件スーツケースの重量や手触りも異常であって,被告人が何も知らなかっ
たというのは考えられない。特別の事情がなければ通常中身を知っているといえ
る。),②被告人の渡航経路や渡航目的が不自然である,③税関検査時の被告人の
言動にも不自然な点がある,④被告人の弁解は信用性に欠けるなどと主張し,以上
を総合すれば,被告人に知情性があったことは明らかであると主張した。
これに対し,被告人は,居住するウガンダ共和国を出国し,仕事の関係等でケニ
- 2 -
ア共和国及びベナン共和国に立ち寄った後,仕事で使用する自動車やパソコン等の
購入を主な目的として来日した,本件スーツケースは,ウガンダ共和国を出発する
前にメイドであるAに購入と衣類等の詰め込みを依頼し,そのまま携帯してきたも
ので,日本に入国するまでその内容物に手を触れていないなどと弁解し,本件スー
ツケースに本件覚せい剤が隠匿された事情として思い当たるのは,A以外にはな
く,ベナン共和国でガイド兼運転手をしてもらう予定であったBがこれを回収する
役であった可能性があるなどと主張した。
(2) 第 1 審判決
裁判員の参加する合議体で審理された第1審判決は,以下のとおり判示して,被
告人の知情性についてはなお疑いの余地が残るとして,被告人に無罪を言い渡し
た。
(検察官主張の①について)隠匿された覚せい剤の量の多さや隠匿の巧妙さか
ら,本件密輸には覚せい剤密輸組織が関与していると推認され,このような犯行に
おいては,覚せい剤密輸組織は,目的地到着後に運搬者から覚せい剤を回収するた
めに必要な措置をあらかじめ講じているはずであると考えられるが,そのような措
置としては様々なものが考えられ,運搬者に事情を知らせないまま同人から回収す
る方法がないとまではいえない。また,本件スーツケースの外観等から被告人にお
いて本件スーツケース内に隠匿物が存在することに気付いたはずであるとは認めら
れない。そうすると,被告人が本件覚せい剤が隠匿された本件スーツケースを自己
の手荷物として持ち込んだという事実から,特別の事情がなければ通常中身を知っ
ているとまで推認することはできない。(同②について)被告人の渡航経路及び被
告人の供述する渡航目的が不自然であるともいえない。

主文(判決文より)

本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中450日を原判決の懲役刑
に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。