事件の基本情報
| 裁判所 | 最高裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成24(あ)744 |
| 判決日 | 2014-03-10 |
| 分類 | 最高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
- 小林徹也(被告代理人)/東京弁護士会
争点(判決文より)
本件の争点 は「覚せい剤の輸入の共謀があったか否か」と整理され,Aに指示を与えていた上 位者として被告人が関与していたかどうかが争われた。 検察官は,被告人がAを介してDに指示を出すとともに,イランに向けた国際電 話をして海外の密輸組織とも連絡を取り合って覚せい剤の密輸入を主導していたも のであって,被告人が本件の首謀者である旨主張し,被告人とAらとの共謀につい ては,被告人から指示を受けていたとするA供述のほか,Aや被告人を含む関係者 間で行われた通話等の履歴(以下「通話記録」という。),被告人が本件を含む一 連の覚せい剤の密輸入の決行日とされる日に自ら関空に赴いていたこと,被告人が 本件当時多額の金銭を得ていたことなどによって立証するとした。これに対し,被 告人は,A供述の信用性を争った。 (2) 第1審判決 裁判員の参加する合議体で審理された第1審判決は,①A供述は,通話記録等に 照らして首肯できる部分もそれなりにあるものの,関係者間の通話状況を子細にみ ると,整合しない点も少なからずあること,②D及びCの供述等によれば,被告人 以外にAに指示を与えていた第三者の存在が強くうかがわれることなどを理由に, A供述の信用性は決して高いものではないとし,他方,関空へはAに頼まれて付い て行っただけであるとする被告人供述については,必ずしも信用し難い面があるも のの,全体として虚偽のものであるとして排斥することはできないとして,被告人 - 2 - とAらとの共謀を否定し,被告人に無罪を言い渡した。 (3) 原判決 検察官が控訴したところ,原審は,第1審判決について,①客観的な証拠である 通話記録からは,被告人の関係する通話を含めて,その通話内容の多くが本件密輸 入に関する連絡であることが強く推認されるにもかかわらず,その指摘する諸点の みを根拠に通話記録がA供述の信用性を裏付けるものではないとした点や,②Aに 覚せい剤の密輸入に関して指示を与えていた被告人以外の第三者の存在は,証拠上 は抽象的可能性に止まるというべきであるのに,その指摘する事情だけから,被告 人以外の第三者の存在が強くうかがわれるとした点は,いずれも経験則に照らし明 らかに不合理な判断であるとし,そのような判断を前提としてA供述の信用性を否 定し,被告人とAらとの共謀を否定する結論を導いた点も,結局,経験則に照らし て明らかに不合理な判断であって是認できないとした。その上で,むしろ,A供述 は通話記録とよく符合していて信用性が高く,A供述以外から被告人の本件密輸入 への関与を基礎付ける事情も認められるから,これらを総合評価すれば被告人とA らとの共謀を優に認定でき,第1審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事 実の誤認があるとして第1審判決を破棄し,事件を第1審に差し戻した。 3 当裁判所
主文(判決文より)
本件上告を棄却する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。