事件の基本情報
| 裁判所 | 最高裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成25(あ)1465 |
| 判決日 | 2015-05-25 |
| 分類 | 最高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 刑法21条 |
この事件の代理人
- 桃川雅之(被告代理人)
争点(判決文より)
争点の整理結果を「争点 は,被告人が本件詐欺行為を行った犯人であるか否かである。」と確認した。 (3) 公判手続中,本件公訴事実につき,冒頭手続及び弁護人の冒頭陳述におい て,被告人及び弁護人は,いずれも前記予定主張と同趣旨の陳述をするにとどまっ ていたところ,被告人質問において,被告人が,「その日時には,自宅でテレビを 見ていた。知人夫婦と会う約束があったことから,午後4時30分頃,西成の同知 人方に行った。」との供述をし,弁護人が更に詳しい供述を求め,被告人もこれに 応じた供述を行おうとした(以下「本件質問等」という。)。これに対し,検察官 が「公判前整理手続における主張以外のことであって,本件の立証事項とは関連性 がない。」旨を述べて異議を申し立て,第1審裁判所は,異議を容れ,本件質問等 を制限した。なお,被告人は,最終陳述において,「平成24年4月25日午後4 時30分から,20分ないし25分の間に,福祉で世話になった知人夫婦と話をし ており,私から梅干しか蜂蜜の品物を送ったりしたという事実がある。私にはそう いう現場に存在できなかったという事実もある。」旨の前記アリバイの主張の具体 的な内容を陳述しており,第1審裁判所がこれを制限することはなかった。 2 公判前整理手続は,充実した公判の審理を継続的,計画的かつ迅速に行うた め,事件の争点及び証拠を整理する手続であり,訴訟関係人は,その実施に関して 協力する義務を負う上,被告人又は弁護人は,刑訴法316条の17第1項所定の - 2 - 主張明示義務を負うのであるから,公判期日においてすることを予定している主張 があるにもかかわらず,これを明示しないということは許されない。こうしてみる と,公判前整理手続終了後の新たな主張を制限する規定はなく,公判期日で新たな 主張に沿った被告人の供述を当然に制限できるとは解し得ないものの,公判前整理 手続における被告人又は弁護人の予定主張の明示状況(裁判所の求釈明に対する釈 明の状況を含む。),新たな主張がされるに至った経緯,新たな主張の内容等の諸 般の事情を総合的に考慮し,前記主張明示義務に違反したものと認められ,かつ, 公判前整理手続で明示されなかった主張に関して被告人の供述を求める行為(質 問)やこれに応じた被告人の供述を許すことが,公判前整理手続を行った意味を失 わせるものと認められる場合(例えば,公判前整理手続において,裁判所の求釈明 にもかかわらず,「アリバイの主張をする予定である。具体的内容は被告人質問に おいて明らかにする。」という限度でしか主張を明示しなかったような場合)に は,新たな主張に係る事項の重要性等も踏まえた上で,公判期日でその具体的内容 に関する質問や被告人の供述が,刑訴法295条1項により制限されることがあり 得るというべきである。
主文(判決文より)
本件上告を棄却する。 当審における未決勾留日数中500日を本刑に算入する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。