保護責任者遺棄致死(予備的訴因重過失致死)被告事件

事件の基本情報

裁判所最高裁判所
事件番号平成28(あ)1549
判決日2018-03-19
分類最高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文刑法218条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点は,①Aが十分な栄養を与えられなかっ
- 1 -
たために低栄養に基づく衰弱により死亡したものであるか,②被告人において,A
が十分な栄養を与えられていない状態,すなわち,Aが生存に必要な保護として,
より栄養を与えられるなどの保護を必要とする状態にあることを認識していたか,
とされた。
第1審判決は,争点①につき,Aが低栄養に基づく衰弱により死亡したことを認
定した上で,争点②につき,被告人において,Aが生存に必要な保護として,より
栄養を与えられるなどの保護を必要とする状態にあることを認識していたというに
は合理的な疑いが残るとして,無罪を言い渡した。
これに対し,検察官が控訴し,争点②に関して事実誤認があると主張するととも
に,第1審裁判所が検察官に対し重過失致死罪に訴因を変更するよう促し,又はこ
れを命じることなく無罪判決を言い渡した点で訴訟手続の法令違反があると主張し
た。原判決は,被告人において,争点②に係る認識があったと認定でき,第1審判
決には事実誤認があるとして,訴訟手続の法令違反の点について判断することな
く,これを破棄し,本件を大阪地方裁判所に差し戻した。
2 本件の事実関係
原判決の認定及び記録によれば,本件の事実関係は以下のとおりである。
(1) Aは,平成22年8月11日に出生し,その当初から筋力が弱く,嚥下障
害等があり,経鼻チューブを用いて胃に栄養を注入するなどの入院治療を受けてい
たが,同年12月,筋力が弱く,運動能力の発達が遅れる病気である乳児重症型先
天性ミオパチー(以下単に「ミオパチー」という。)と診断された。
Aは,平成23年3月に退院して,被告人の母(Aの祖母。以下「祖母」とい
う。)方で同人及び被告人と同居し,同年4月21日には,居住する市から身体障
害者1級の認定を受けた。Aは,月に1回程度の通院を続けていたが,平成25年
1月(当時2歳5か月)から,主治医の判断により,経鼻チューブを外して食物の
みから栄養を摂取するようになった。
Aは,平成25年4月頃,祖母方を離れ,被告人及び被告人の夫(Aの養父。以
- 2 -
下「夫」という。)と同居し始め,同月30日にAの弟が生まれ,以後,被告人,
夫,A,Aの弟の4人で生活していた。Aは,同年8月(当時2歳11か月)に
は,自ら食事ができ,独立歩行もできるようになり,その頃,Aを診察した主治医
は,被告人に対し,今後は相談事があるときに診察を受ければよく,定期的な診察
は必要ない旨告げた。
被告人は,平成26年2月27日(当時Aは3歳6か月),Aに整形外科を受診
させ,その際,挨拶のためAを主治医に会わせるなどしたが,それ以後は,Aに医
師の診察を受けさせておらず,Aの健康状態等に関して医師に助言を求めるなども
していなかった。
(2) Aは,出生時から体重が平

主文(判決文より)

原判決を破棄する。
本件控訴を棄却する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。