事件の基本情報
| 裁判所 | 最高裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成30(受)1874 |
| 分類 | 最高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
- 馬奈木昭雄(上告人代理人)/福岡県弁護士会
争点(判決文より)
争点は,請求異議事由としての事情の変動による権 利濫用の成否であると考えられる。そこで,これについて更に審理を尽くさせる必 要があるが,その審理,判断に当たって留意すべき点として,以下のような点を指 摘しておきたい。 2 判例上,確定判決に基づく強制執行が権利の濫用に当たるとして請求異議訴 訟でその執行力を排除する余地が肯定されており(最高裁昭和35年(オ)第18 号同37年5月24日第一小法廷判決・民集16巻5号1157頁,最高裁昭和5 9年(オ)第1368号同62年7月16日第一小法廷判決・裁判集民事151号 - 4 - 423頁等),権利濫用に当たるか否かを判断するに当たっては,当該債務名義の 性質,同債務名義により執行し得るものとして確定された権利の性質・内容,同債 務名義成立の経緯及び同債務名義成立後強制執行に至るまでの事情,強制執行が当 事者に及ぼす影響等諸般の事情を総合考慮することとなる(前掲昭和62年7月1 6日第一小法廷判決)。 このうち,債務名義の性質に関していえば,債務名義にも様々な性質・性格のも のがある。その中には,例えば,被害者が将来失うであろう逸失利益の算定に基づ き損害賠償金の支払を命ずる確定判決のように,将来予測に基づき一定の給付を命 ずるものもあり,このような債務名義については,過去に生じた損害に関する場合 とは異なった事情があることから,通常の債務名義とは異なった考慮も必要となる 場合がある。 3 そこで,本件における債務名義の性質・性格や,これにより確定された権利 の性質・内容等についてみると,以下のような特殊性がある。 一般的にいうと,本件のような事案において妨害排除又は妨害予防請求権に基づ く特定の作為又は不作為の請求(以下「作為等請求」という。)が認められるに は,被侵害利益の性質と内容を踏まえつつ,対立する諸利益等との総合的な利益衡 量を経た上,妨害が違法であると評価される状態が将来にわたって継続することが 具体的に予測され,かつ,対立する諸利益を考慮しても,被侵害利益に対する救済 を損害賠償にとどめるのでは足りず,作為等請求まで認める必要があると判断され ることが必要となるであろう。このような判断の構造に照らすならば,本件各確定 判決は,先に挙げた逸失利益の算定のような場合に比べても,次のような点で将来 の予測に係る不確実性に対する考慮が一層必要なものであったといえる。 第1に,本件各確定判決が漁業行使権に基づく開門請求を認める判断の前提とし た諸事情(漁獲量の減少の程度,本件潮受堤防の災害防止機能の必要性等)は,自 然環境や社会環境にも関わる本来的に可変的,流動的な性格を有するものである。 - 5 -
主文(判決文より)
原判決中上告人らに関する部分を破棄する。 前項の部分につき,本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。