損害賠償請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所知的財産高等裁判所
事件番号平成23(ネ)10052
判決日2012-01-31
分類知的財産 / 著作
判決種別判決
判決文が挙げた条文著作権法20条2項4号

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点及び争点に関する当事者の主張
原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の「2 前提事実」,「3
争点」,「4 争点に関する当事者の主張」(原判決4頁5行目から19頁17行
目)に記載のとおりであるから,これを引用する。
3 当審における補足的主張
[被告らの主張]
原告の請求は,以下の理由からも,成り立たない。すなわち,
①原告は,本件入れ墨の製作に当たり,「日本の仏像100選(主婦と生活 生
活シリーズ328)」(佐藤昭夫監修,平成8年10月20日株式会社主婦と
生活社1刷発行)の中から11頁左側に掲載された向源寺観音堂(滋賀県)の
十一面観音立像の写真(以下「本件仏像写真」という。甲16の2)の上にトレ
ーシングペーパーを重ねて,上から鉛筆で描線をトレースして,下絵を作成した。
このような製作過程を考慮すると,本件入れ墨は,創作的な表現とはいえず,著作
物性はない。②本件入れ墨が,男性の大腿部に施されていることから,本件入れ墨
を撮影した写真をそのまま使うことは相当でないといえるから,本件画像を本件書
籍の表紙カバー等に掲載したことは,著作権法20条2項4号所定の「やむをえな
い改変」に基づく掲載に当たる。③本件入れ墨の対価が社会通念に照らし高額であ
- 4 -
ること,入れ墨が身体に施すものであることからすると,著作者人格権不行使につ
いて,黙示の合意が成立しているというべきである。また,原告は,平成21年4
月13日に,被告Xに対して,「今後一切,金品等の要求はしない」と述べたこと
に照らすと,著作者人格権不行使の合意が成立している。④本件入れ墨の製作に当
たり,被告Xは,本件仏像写真を原告に提供して,本件入れ墨の図柄等に対して依
頼をしたが,被告Xのこのような行為は,本件入れ墨の創作に共同して関与したも
のと評価されるべきであり,本件入れ墨は,原告と被告Xの共同著作物であるとい
える。したがって,原告は,被告Xの合意なく,請求権を行使することは許されな
い。⑤他人の許諾を得ない限り,自己の身体の利用ができないとすることは社会通
念に照らし不合理であること等から,被告らに過失はない。⑥原告が,著作者人格
権に基づいて,損害賠償金支払を請求することは,権利の濫用に該当する。
[原告の反論]
被告らの主張は,以下のとおり,失当である。すなわち,
①原告の作成した下絵にも創作性があるのみならず,本件入れ墨は,下絵をもと
に順次手数を重ねて完成させたものであり,創作性を否定する余地はない。なお,
原告は,本件仏像写真にコピー用紙を重ねて,下絵を作成したが,コピー用紙を重
ねた上から,本件仏像写真の輪郭線はかろうじて見ることができるが,輪郭線以外
の観音像の顔,頂上仏面および変化面の顔,および着衣のひだ等の状態を見ること
はできないので,原告は,自

主文(判決文より)

1 原判決を次のとおり変更する。
(1) 控訴人らは,被控訴人に対し,連帯して12万円及びこれに対する平成1
9年7月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 控訴人Xは,被控訴人に対し,6万円及びこれに対する平成21年5月3
0日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 控訴人株式会社本の泉社は,被控訴人に対し,6万円及びこれに対する平
成22年2月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4) 被控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は,第1審,第2審を通じて,これを5分して,その1を控訴人ら
- 1 -
の負担とし,その余は被控訴人の負担とする。
3 この判決は,第1項の(1)ないし(3)に限り,仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。