事件の基本情報
| 裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成26(行ケ)10233 |
| 判決日 | 2015-07-30 |
| 分類 | 知的財産 / 特許 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 特許法29条 |
この事件の代理人
争点(判決文より)
争点は,進歩性判断の当否である。 1 特許庁における手続の経緯 原告は,平成11年(1999年)8月6日を国際出願日として,発明の名称を 「粘膜保護用医薬としてのホスファチジルコリン」とする特許出願をした(特願2 000-563262号。パリ条約による優先権主張:1998年8月6日(DE) ドイツ,1998年12月15日(DE)ドイツ。本願優先日。)が,平成24年1 月16日,拒絶査定を受けたので,同年5月24日,審判請求をするとともに手続 補正(本件補正)をした。 特許庁は,平成26年6月11日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審 決をし,同審決謄本は,同月24日に原告に送達された。 2 本願発明の要旨 本件補正前の請求項1記載の発明(本願発明)の要旨は,以下のとおりである。 「疾患治療のための有効濃度で,pHに依存する遅延放出形態でのホスファチジル コリンを活性物質として含む,結腸における粘膜保護用医薬。」 3 審決の理由の要点 本件補正は,補正の要件を満たさないので却下する(原告は,この点を本件訴訟 において争わない。)。 本願発明は,本願優先日前に頒布された刊行物1(Digestion, 1992, Vol.53, No.1-2, p.35-44。甲6。),刊行物2(国際公開第97/28801号。甲7の1。 これに対応する日本語出願の公表公報(甲7の2))及び刊行物3(国際公開第96 /36319号。甲8の1。これに対応する日本語出願の公表公報(甲8の2))の 記載事項に基づいて,当業者が容易に発明することができたから,特許法29条2 - 2 - 項により特許を受けることができない。 本願発明の進歩性にかかる審決の理由の要旨は,以下のとおりである。 (1) 刊行物1(甲6)記載の発明(引用発明)の認定 「結腸炎モデルにおいて結腸粘膜損傷の修復に有効な量のホスファチジルコリン を活性物質として含む,結腸における粘膜保護用剤」 (2) 本願発明と引用発明との対比 (一致点) 「ホスファチジルコリンを活性物質として含む,結腸における粘膜保護用剤。」 (相違点1) 本願発明では,ホスファチジルコリンを「疾患治療のための有効濃度で」含む「医 薬」であるのに対し,引用発明では,そのような特定がない点。 (相違点2) 本願発明では,ホスファチジルコリンを「pHに依存する遅延放出形態で」含む ものであるのに対し,引用発明では,そのような特定がない点。 (3) 判断 ア 相違点1について 引用発明の「結腸における粘膜保護用剤」は,ラットの酢酸誘導結腸炎をモデル として評価された,ホスファチジルコリンの結腸での粘膜保護用途であり,当該モ デルにおいては,一定の投与濃度と投与量で結腸粘膜損傷を修復していることから, 結腸粘膜損傷治癒のための有効濃度が適用されている
主文(判決文より)
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定め る。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。