著作権侵害差止等請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所知的財産高等裁判所
事件番号平成28(ネ)10019
判決日2016-06-29
分類知的財産 / 著作
判決種別判決
判決文が挙げた条文著作権法112条1項
当事者被控訴人 株式会社復刊ドットコム

この事件の代理人

  • 大熊裕司(控訴人代理人)/第一東京弁護士会
  • 北村行夫(被控訴人代理人)/東京弁護士会

争点(判決文より)

争点(1)(本件書籍発行についての控訴人の許諾の有無)について
〔被控訴人の主張〕
ア 原判決の判断は,正当である。
イ 被控訴人の担当者が,原書籍に収録されたイラストの再利用を求めたのに対
し,控訴人は,電子メール(乙2)において,被控訴人の説明について,本件書籍
に使用されるイラストが何であるかについて何らの質問も確認もないままに,許諾
の意思表示をした。このことからすれば,控訴人は,原書籍に収録されたイラスト
- 3 -
にどのようなものが含まれているか(「特集ページ」に掲載されたものか,「記事
ページ」に掲載されたものかなど)を問題とするまでもなく,「原書籍に収録され
たイラスト」に関する使用を許諾する意思を有していたものと解されるのであり,
それ以上に許諾対象を「記事ページ」に掲載されたイラストに限定しなくては許諾
できないなどという意思を有していたとは考えられない。
控訴人の許諾対象は「原書籍に収録された本件イラスト」にほかならず,控訴人
と被控訴人との間において,許諾の目的物について意思の不一致など存在しないか
ら,本件イラストの使用許諾は有効である。
ウ 控訴人の主張について
(ア) 控訴人は,原書籍の存在を知らなかった旨主張する。
しかし,出版業界における慣行に照らし,秋田書店が控訴人に献本を行わなかっ
たとは考えられない。また,被控訴人から許諾を求められた際,原書籍の「復刻」
であることが明示されていたにもかかわらず,控訴人は,原書籍について何らの確
認も行わなかったことに照らしても,控訴人が原書籍を認識していたことは明らか
である。さらに,控訴人は,本件書籍が発行された当初,自己のホームページで本
件書籍の紹介をしていたが,その記事の内容は,控訴人が原書籍の存在及びその復
刻版である本件書籍を積極的に容認していたことを示すものである。
(イ) 控訴人は,被控訴人の担当者に対し,本件書籍の内容の確認を求めた旨主
張する。
しかし,控訴人が被控訴人に対し,本件書籍の中身を見せて欲しいとの要望を出
したことは一度もない。被控訴人が,控訴人に対し,事前に本件書籍を提示しなか
ったのは,単に控訴人からの要望がなかったからにすぎない。
(ウ) 被控訴人が許諾料を一律1万円とした趣旨は,誰が書いたか分からないか
らではない。本件書籍が新刊ではなく復刻版であり,読者層が極めて限られるとい
う被控訴人の予算の都合によるものであり,被控訴人の担当者は,控訴人にこの点
を説明して,その理解を得ている。
- 4 -
なお,控訴人は,対象となるイラストについては何らの確認も留保も示さなかっ
たものの,許諾料1万円については安いと不満を述べていた。許諾料が安いと判断
する前提として,控訴人は,許諾対象となるイラストが何であるかを認識していた
ものと解される。
〔控

主文(判決文より)

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。