不当利得返還請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所知的財産高等裁判所
事件番号令和4(ネ)10004
判決日2022-07-14
分類知的財産 / 著作
判決種別判決
判決文が挙げた条文著作権法27条
当事者被控訴人 本田技研工業株式会社

この事件の代理人

  • 横山康博(控訴人代理人)/東京弁護士会
  • 前田哲男(被控訴人代理人)/第二東京弁護士会

争点(判決文より)

争点
⑴ 本件社史部分の翻案該当性(争点1)
⑵ 被控訴人の不当利得の有無及び利得額(争点2)
4 争点に関する当事者の主張
次のとおり当審における当事者の補充主張(争点1関係)を付加するほか、
原判決の「事実及び理由」の第2の4記載のとおりであるから、これを引用す
る。
⑴ 当審における控訴人の補充主張(争点1関係)
原告書籍は、ノンフィクション作品である。ノンフィクション作品は、①
あらゆる種類の無限の事実の中から、②誰も知らなかったような事実を、③
意図的な取材によって発掘し、④その中から制作方針に基づいて選択して、
⑤創作的に表現し、つなぎ合わせるという創作活動によって制作されるもの
であり、無限に存在する様々な事実の中から、制作意図にふさわしい物を見
つけ出して、ストーリーを構成するのであるから、①から⑤までの全てが一
連の創作活動である。
ノンフィクション作品においては、著作者が取材を通じて発掘した事実
こそが重要であり、自らの制作意図にかなった事実をいかにして発掘し、発
掘した事実から何を感じ取って、どういうストーリーを見つけ出すかが、ノ
ンフィクション作家の真骨頂といえる。
原告書籍についていえば、「NRプロジェクト」の内実は全く公表されて
おらず、いったいどのようなエンジンが開発されたのかさえ社内でもよく知
られていなかったところ、そのベールが原告書籍によって一気に取り払われ、
様々な驚くべきエピソードとともに語り明かされたことから、原告書籍は大
きな反響をもって迎えられたのである。
本件社史部分も、一種のノンフィクション作品であり、原告書籍と同じ
テーマを取り上げたもので、原告書籍と同じ事実やエピソードが次々に登場
する。このように、原告書籍によって初めて世に知られた事実が次々と登場
していることからすれば、本件社史部分は、原告書籍と「表現の本質的な特
徴」が完全に一致する、原告書籍を翻案したものに該当するというべきであ
る。
これに対し、原判決は、原告書籍と本件社史部分とは、事実の面で共
通しているだけであるから、本件社史部分は原告書籍を翻案したものに当た
らないと判断しているが、ノンフィクション作品の特徴や、その「創作性」
についての理解が欠落したものであるから、誤りである。
⑵ 当審における被控訴人の補充主張(争点1関係)
原判決が判示するとおり、原告書籍と本件社史部分との間の共通する部
分は、単なる「事実」にすぎないのであって、「創作的な表現」の同一性は
認められないから、本件社史部分は原告書籍を翻案したものに該当しない。

主文(判決文より)

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。