事件の基本情報
| 裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和5(ネ)10069 |
| 判決日 | 2024-02-01 |
| 分類 | 知的財産 / 特許 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 民法166条1項、特許法35条、特許法35条3項 |
| 当事者 | 被控訴人 株式会社ダイセイコー |
この事件の代理人
争点(判決文より)
争点及び争点に対する当事者の主張は、後記3のとおり当審にお ける控訴人の補充主張を付加するほか、原判決「事実及び理由」第2の2ない し4(2頁6行目から11頁15行目まで)記載のとおりであるから、これを 引用する。 3 当審における控訴人の補充主張 ⑴ 特許法35条は、発明者の利益保護と開発費等のリスク負担をした使用者 の利益保護の調和を図った上で、就業規則等において使用者等に特許を受け る権利若しくは特許権を承継させ、又は使用者等のため専用実施権を設定し た場合に、発明者に法定の対価請求権を付与した規定であり、このような立 法趣旨等に鑑みると、使用者が職務発明に利益を得ている場合に従業員であ る発明者が対価を得られる機会を広く保護すべきである。 本件では、被控訴人は本件発明を自己実施し、その実施品を販売すること により多大な利益を得ており、このような独占の利益を与えた本件発明の発 明者である控訴人に対して「有益な発明考案をした」(就業規則60条⑶)こ とに基づきクオカードを交付している。 このような本件の実質的な側面(被控訴人が、本件発明に基づき独占の利 益を得ており、独占の利益を得たことに対して控訴人に対して金品を授与し ていること)及び前記の特許法35条の立法趣旨を踏まえると、就業規則6 0条⑶の形式的な文言にこだわるのではなく、同条⑶は職務発明に関する規 定であると解すべきであり、このような規定に基づいて平成24年6月末に クオカードが交付されている以上、この時点をもって消滅時効の起算点とす べきである。 また、原判決の判断は、職務発明規定を設けず、就業規則において表彰と いう名目の下、表彰内容について詳細な規定を設けず、職務発明に対して他 の表彰事由と同様に簡易・一律に取り扱うという発明者にとって不利益な規 定に基づいてインセンティブの支払をすれば、職務発明に対する対価の支払 ではないとして、消滅時効の起算点が特許を受ける権利の承継時点に早まる 運用を認めることになり、発明者に対するインセンティブを与えない使用者 の方が消滅時効の観点からは手厚い保護がされることになってしまう。しか し、このような結論は特許法35条の立法趣旨からすると妥当ではない。本 件のように控訴人が行った職務発明及びその実績に対して金員が支払われた ことが明白な事案においては、このような実質的な側面を重視し、規定の名 称といった形式がどのようなものかという点を問わず、一律に職務発明の対 価に関する規定であるとする方が、発明者保護の観点とともに、従業員に対 して手厚いインセンティブを支払う企業もそうでない企業も消滅時効の点で 同様の扱いとなるという点からも妥当である。 原判決は、就業規則60条には対価の支払時期に関する記載がないことを もって、同規定が対価の支払時期に関するもので
主文(判決文より)
1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。
出典
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