事件の基本情報
| 裁判所 | 仙台高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成28(う)43 |
| 判決日 | 2016-06-02 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 刑法36条2項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点に対する判断の項において,論旨と 概ね同旨(正当防衛の主張を含む。)の原審弁護人(当審弁 護人でもある。)の主張に対し,次のように判断過程を説示 している。 Aは,前記のとおりチェーンソーを持ったり木の棒を持 ったりした(以下「加害行為」という。)が,Aがこれま で被告人と口論となっても暴力を振るったことはなく,本 件直前のやり取りが以前と大きく異なるものではなかった こと,Aは日頃から口が悪く,「ぶっ殺すぞ」などという 言葉も文字どおりの殺意を表したものとはいえないこと, チェーンソーはエンジンがかかっておらず,Aはエンジン をかけようともしておらず,現実に凶器として使用するつ もりであったとは考えられないこと,70歳と高齢で腰が 痛いなどということもあったというAが重量約5.3キロ グラムのチェーンソーを振り回して鈍器として攻撃するな どとも考えられないこと,実際にもAはチェーンソーを被 告人に奪われても取り返そうとはしていないこと,木の棒 はそれ自体それほど殺傷力の高いものとはいえない上,被 告人がチェーンソーを左後方の地面に置いているときや, 鉈で切りかかっているときでさえ,Aは木の棒で攻撃をし ていないことなどからすれば,Aの被告人に対する加害行 為は,その意図からすれば,脅迫程度にとどまり,現実に 被告人の生命身体に危険を及ぼすようなものではなかった。 一方,被告人のAに対する反撃行為は,鉈を上から下に 振り下ろすなど,相当な力を加えて頭部や頸部を中心に少 なくとも14回も執拗に繰り返されたもので,危険性が極 めて高く,実際にAをその場で絶命させるものであったか ら,客観的にみてAによる加害行為に比べて著しく過剰な ものであった。 そして,被告人とAの直前のやりとりがAに被告人への 殺意を抱かせるようなものではなく,Aはチェーンソーや 木の棒で攻撃をしてきていないことは被告人も認識してい たこと,被告人が躊躇なくAに向かって行ってチェーンソ ーの刃をつかむなどして取り上げた上,Aから目を離して 左後方の地面に置き,木の棒を持っているAに自ら近づい て鉈で切り付けていること,Aの背中や後頭部に残された 複数の傷跡や,信用できる医師Bの証言からは,被告人が Aの背後からも鉈で複数回切り付けたと推認できること, Aが倒れて動かなくなった後も執拗に攻撃を続けているこ と,被告人がAと不仲であって直前にもAから文句を言わ れたこと,犯行後Aを一切助けようとせずに持ち帰ったチ ェーンソーを犯行現場に戻し,警察等に報告するなどして いたことなどを併せ考えると,被告人はAの言動によりこ れまでの不満を爆発させて逆上し,興奮状態ではあったと してもその意思は保ち,反撃行為が著しく過剰であること も認識しながら,Aが絶命するまで意図的に危害を加え続 けたといえる
主文(判決文より)
本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中60日を原判決の刑に算入する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。