事件の基本情報
| 裁判所 | 札幌高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和2(う)171 |
| 判決日 | 2021-04-26 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
- 磯田丈弘(不明)/札幌弁護士会
争点(判決文より)
争点整理の結果としても,被害 児が生存のために必要な食事を与えられなかったかが争点とされ,間接事実 としても,死亡に至るほどの低栄養状態に陥っていたかが問題とされていて, 二,三週間の絶食状態にあったかが争点とされていたわけではないから,所 論はその前提を欠き,失当である。なお,原判決において,被告人らが被害 児の体重を維持するのに必要な食事を与えなかった旨認定している部分は, 体重減少の事実から低栄養状態の程度を認定しているものであって,原審に おける争点の範囲内であることはもとより,原判決はこれを実行行為として 認定しているのではなく,主として5月31日頃の時点で被害児が要保護状 況にあったことを基礎付ける経緯として認定しているにすぎないのであるか ら,この点からも不意打ち的な認定とはいえず,原審裁判所の訴訟手続に所 論指摘の法令違反は認められない。論旨は理由がない。 第2 事実誤認について 1 原審においては,①遅くとも5月31日頃までに,被害児が,生存の ために必要な食事を与えられ,かつ,生存のために必要な医師による治療等 の医療措置を受ける,という特定の保護を必要とする状況にあったにもかか わらず,これらを与えられず衰弱死したと認められるか,②被告人が,遅く とも同日頃までに,被害児が要保護状況にあったことを認識しながら,Aと - 2 - 一緒になってそれらの保護を与えなかったと認められるか,が中心的に争わ れたが,原判決は,以下の理由から,上記事実を認定している。 まず,被害児を解剖したB医師は,被害児の頭部や脳にそれ自体で致命傷 となるような出血や病変はなく,死亡の直接の原因となるような特定の臓器 の病変等も見当たらなかったとした上で,被害児は,体重が減少して低栄養 状態になり,外傷が衰弱の程度を強めた結果,循環器系,中枢神経系,消化 器系の機能が低下するとともに,体内で熱を十分に生産することができずに 低体温症となるなど,全身の様々な諸臓器の生命維持に必要な機能が低下し た状態に陥り,最終的に心停止により死亡したものであり,他方で窒息死の 可能性を始めとする他の死因は否定されることから,死因は低栄養による衰 弱死である,と証言している。この証言内容は,被害児は体重が著しく減少 した低栄養状態にあったことに疑いを入れる余地はないことや,被害児の身 体に,死亡する2週間から3週間以内に形成されたとみられる頭部全体にわ たる相当量の出血を伴う新旧様々な皮下出血や顔面全体の皮下出血のほか, 顔面,左肩部,胸部上方に2度熱傷があったこと,被害児の直腸温の測定結 果が,6月5日午前7時27分頃に29度,同日午後3時45分頃に23. 3度で,かつ死後硬直に遅れが見られたこと,気道閉塞によって窒息死した のであれば通常生じると考えられる生活反応や肺の溢血点等
主文(判決文より)
本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中100日を原判決の刑に算入する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。