殺人、殺人未遂

事件の基本情報

裁判所札幌高等裁判所
事件番号令和6(う)11
判決日2024-05-28
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
となったところ、原判決は、これらの争点のうち、⑴被告人のBに対する殺
意の有無、⑵本件当時の被告人の責任能力の有無及び程度について、概要、
次のとおり判断している。
すなわち、争点⑴については、被告人から本件ナイフで突き刺されたBは、
右後頸部周辺の3か所のほか、背部、左右の肩部、右側腹部にも合計7か所
に、深さ約4cmから約5cmの刺傷を負い、右外傷性血胸も生じていると
ころ、被告人は、Bに対し、本件ナイフで頸部を含む上半身を何度も突き刺
すなどしており、与えた傷の深さも浅くはなく、被告人がBに対する犯行時
にDに羽交い絞めにされるなどしていたことも考えると、力を込めてBを攻
撃していたといえる上、Bの負傷部位のうち頸部は重要な神経や血管が集中
し、損傷した場合の死亡の危険性の高さは明らかであり、他の負傷部位も人
体の重要な部位であるから、被告人のBに対する行為は、人を死亡させる危
険性の高い行為であったと認められ、被告人は、Bに対する攻撃の時点で急
性ストレス反応を発症していたが、急性ストレス反応があっても意識障害が
生じるわけではなく、注目している相手については認識できたし、AとBは
性別や体格、髪型が異なり、被告人はBから体当たりを受けた後にBを刺し
始めており、BをAと取り違えることなく突き刺したと認められるから、被
告人は、Bに対する攻撃が、人を死亡させる危険性が高い行為であると分か
っており、その対象がAとは別の人物であることも認識していたと認められ、
殺意はなかったとする被告人の供述は信用できず、その後の記憶がないこと
も殺意を否定する事情とはならないから、被告人にはBに対する殺意が認め
られる。争点⑵については、捜査段階におけるE医師の精神鑑定の結果を踏
まえると、被告人は、Aの胸を切り付けたことをきっかけに急性ストレス反
応を起こしたのであるから、その行為時点では、精神障害はなかったし、A
とBは多数の創傷を負っており、Aらを敷地外に追い出すためだけであれば、
ここまで執拗にAらを攻撃する必要はなく、急性ストレス反応による高度の
興奮状態が犯行に一定程度影響を及ぼしたことは否定できないが、急性スト
レス反応の症状自体は直ちに他人を傷つける行動につながるものではなく、
自分の意思に反した行動をしてしまうものでもないから、正常な心理状態で
開始した攻撃を急性ストレス反応に陥った後も自分の意思で継続しただけと
いえる上、急性ストレス反応は意識障害を引き起こすものではなく、現に被
告人は、犯行を止めようとしたDは攻撃しておらず、口論をしていたAや体
当たりをしてきたBという攻撃する理由のある相手だけを選んで攻撃してい
るから、急性ストレス反応が犯行に与えた影響は限定的であり、犯行当時の
被告人は完全責任能力であったと認められる、というのであ

主文(判決文より)

本件控訴を棄却する。
当審における未決勾留日数中110日を原判決の刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。