事件の基本情報
| 裁判所 | 札幌高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和6(ネ)229 |
| 判決日 | 2025-09-11 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 憲法13条、憲法14条、憲法26条、憲法26条1項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点は、⑴札幌聾学校校長がc教諭及びd教諭を控訴人らの担任とし たこと並びにその後に適切な対応をしなかったことが、控訴人らの憲法上の権 利を侵害するものとして国賠法1条1項の適用上違法か、⑵札幌聾学校校長が c教諭及びd教諭を控訴人らの担任としたこと並びにその後に適切に対応をし なかったことは、道教委及び札幌聾学校の控訴人らの保護者に対する入学前の 説明に反するものとして、国賠法1条1項の適用上違法か、⑶控訴人らの損害 及び因果関係であった。 原審は、次のとおり札幌聾学校校長には国賠法1条1項の適用上違法となる 行為は認められないと判断し、控訴人らの請求を棄却した。争点⑴については、 憲法26条は、国民が必要な学習をすることを公権力から阻害されない権利や 公権力に対し必要な教育制度、教育施設その他の教育条件の整備を求める権利 を定めるところ、これを学習権として保障するものと解される。後者について は、その具体的な内容・方法は、教育に関する専門的な知見を踏まえ、人的資 源の確保、国や地方公共団体の財政事情など多方面にわたる要素を考慮して決 定しなければならないから、第一言語による教育を受ける権利は直ちに保障さ れていない。もっとも、札幌聾学校が控訴人らに対し、日本手話でひととおり の授業を提供せず、その他のコミュニケーション手段を用いていることが、憲 法26条1項は「その能力に応じてひとしく」教育を受ける権利を定めること から、これに反しないかも問題となる。この点、憲法14条の趣旨を踏まえて、 教育条件整備の内容・方法について、教育に関する専門的な知見を踏まえ、人 的資源の確保、国や地方公共団体の財政事情など多方面にわたる要素を考慮し て決定する必要があるが、教育条件は、憲法26条の背後に存する学習権の趣 旨に照らし、区別する目的に合理性があり、かつ、その区別の内容が目的との 関係で合理性を有するのであれば同条1項に反しない。区別の目的は教育関係 法令及び学習指導要領に沿った教育と手話を活用した教育の両立であって、目 的は合理的であり、その目的を達するために多様なコミュニケーション手段を 用いることも合理的であることから、憲法26条1項に反しない。憲法13条 違反の主張については、言語がアイデンティティの基盤となる存在であるとし ても、特定の言語での教育を求めることが個人の人格の重要な要素であるとは いえず、同条に違反しない。また、聴覚に障害のない児童は第一言語である日 本語教育を受けられたにもかかわらず、控訴人らが第一言語である日本手話で の授業を受けられないことについても、不合理な取扱いとはいえないから、憲 法14条に反するとはいえない。争点⑵については、札幌聾学校が入学前に説 明を受けた内容を実施しなければ、児童の期待、信頼が損なわれることになる から、
主文(判決文より)
1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。