事件の基本情報
| 裁判所 | 広島高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成22(ネ)450 |
| 判決日 | 2012-02-20 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 国家賠償法1条1項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点及び争点についての当 事者の主張は,後記3に当事者の当審における主張を付加するほかは,原判 決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の2項(原判決5頁21行 目から同13頁23行目まで)に記載のとおりであるから,これらを引用す る。 3 当事者の当審における主張 (控訴人) (1) Aを成年後見人に選任したことの違法 ア 家事審判官は,控訴人の受け取る保険金が数千万であることを認識し ていたから,Aに対する適格性の審査を慎重にすべきであった。そのよ うな審査をしていれば,他人の財産を管理する能力がないAを控訴人の 成年後見人に選任することはなかったはずである。ところが,家事審判 官は,その裁量権を逸脱,濫用し,Aを控訴人の成年後見人に選任した のであるから,この選任は違法である。 イ 担当の家庭裁判所調査官(以下「担当調査官」という。)は,Aに対 し,成年後見人の役割及び任務について十分な説明をしなかった。これ が行われていれば,控訴人の損害の拡大を阻止できた。 (2) 後見監督の違法 ア 第1回後見監督について 担当調査官は,Aの面接調査において,Aが保険金入金後4か月足ら ずのうちに470万円を払い戻していたことを確認し,これに対するA の説明は,預金の払戻状況と整合しない不自然なものであった。そうす ると,担当調査官は,Aの知的障害を疑い,少なくとも3か月程度先に Aが手持金の管理を改めているかを確認すべきであった。しかし,担当 調査官は,上記調査を怠り,その次の後見監督事件の立件を1年後と設 定したものであるから,その裁量権を逸脱,濫用した違法がある。 - 2 - イ 第2回後見監督について 担当調査官は,Aの面接調査により,多額の使途不明金があることを 発見し,このまま放置しては,被後見人の財産が更に減少する危険があ るとして,早急に手続を進める必要があると考えたにもかかわらず,不 十分な対処方針を立案したにすぎず,その後のAらの横領を防ぐことが できなかったのであるから,裁量権を逸脱,濫用した違法がある。 (3) 最高裁判所の組織的な違法について 最高裁判所は,全国の成年後見制度の運用状態を把握できたのであるか ら,成年後見人の選任とその監督,被後見人の所有する金銭の不正使用 をチェックする仕組みなどを全国的に指導ないしは制度化すべきであっ たが,これを怠った。そのため,本件の横領が発生したものである。 (被控訴人) (1) 担当調査官の職務上の注意義務は,家庭裁判所内部のものに止まり, 被後見人に対して負うものではない。また,家事審判官の職務行為に国家 賠償法1条1項の違法が認められるためには,家事審判官が,違法,不当 な目的をもって裁判をしたなど,その付与された権限の趣旨に背いてこれ を行使したと認められるような特別の事情が必要である
主文(判決文より)
1 原判決を次のとおり変更する。 (1) 被控訴人は,控訴人に対し,231万円を支払え。 (2) 控訴人のその余の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,第一,二審を通じてこれを15分し,その1を被控訴 人の負担とし,その余は控訴人の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。