事件の基本情報
| 裁判所 | 広島高等裁判所 松江支部 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成28(う)24 |
| 判決日 | 2017-03-27 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
- 瀬古智昭(検察官)/鳥取県弁護士会
争点(判決文より)
争点及び証拠が整理され,原審弁護人らとしても,被告人が金品物色中に 被害者に発見されたことを契機としてやむなく殺害行為に及んだという検察官の 主張を前提として防御の準備を進めていたところ,原判決は,上記の検察官主張 の事実経過を積極的に排斥する一方,被告人が本件事務所に被害者がいないこと を期待して金品窃取の目的で本件ホテルに侵入したが,予期に反して本件事務所 に被害者がいたため,当初の窃盗目的を1度は諦めたものの,その際,被告人と 被害者との間で何らかのやり取りがなされ,その中で,被告人が被害者の殺害を 決意するようないさかいが起こり,被告人が被害者に対して暴行に及んだなどと いう,本件の公判前整理手続及び公判期日を通じて検察官が1度も主張していな かった事実経過を突如として持ち出し,被告人が全く想定していなかった不意打 ち的な事実認定をしたものであり,原審弁護人らとしても,上記事実認定を踏ま えた防御活動を尽くす機会が与えられなかったものであって,これは被告人の防 御権の不当な侵害であるから,訴訟手続の法令違反があったという。 原審記録によれば,所論が指摘する上記事実関係があったことが認められるか ら,原審裁判所としては,審理の過程において認定しようとする事実関係を顕在 化させる措置をとる必要があったというべきであって,これを怠った原審裁判所 の訴訟指揮は不適切であったというべきである。 しかしながら,原判決の上記事実認定は,本件事件の犯人(以下「犯人」とい う。)が被告人であると認められることを前提として導き出されたものであるか ら,原審弁護人らが主として争っていた,犯人が被告人であると認められるかに ついての判断に影響を与えるものではなく,さらに,原審弁護人らが主として争 っていた,犯人の暴行と被害者の死亡との因果関係についての判断に関しても, 原判決の上記事実認定が影響を及ぼさないことは明らかであるというべきである から,被告人との関係においては,結果的に防御権の不当な侵害があったという ことはできない。 そうすると,弁護人らが主張する訴訟手続の法令違反があったということはで きないから,所論は採用することができない。 4 弁護人らの控訴趣意中事実誤認の主張について (1) 原判決は,要旨,①何者かが,午後9時40分頃,本件事務所において, 被害者に対し,その頭部を壁面に1回叩きつけ,意識を失い倒れた同人の頸部 をひも様のもので約3分間絞め付けるなどし,同人に遷延性意識障害を伴う右 側頭骨骨折,脳挫傷,硬膜下血腫等の傷害を負わせたこと,②その結果,被害 者は,最終的に敗血症を引き起こして多臓器不全により死亡した,との各事実 を認定しているところ,関係証拠によれば,上記①,②の各認定が論理則,経 験則に照らして不合理であるということはできない。 (2
主文(判決文より)
原判決中有罪部分を破棄する。 被告人は無罪。
出典
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