殺人,殺人未遂,銃砲刀剣類所持等取締法違反

事件の基本情報

裁判所広島高等裁判所
事件番号令和1(う)130
判決日2020-01-21
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文刑法21条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点に対する判断)の項において要旨以下のとおり説示して,完全責任能力を認
定した。
ア 統合失調症の本件に対する影響について
(ア) 起訴前鑑定を行った甲医師の「被告人の統合失調症は,治療によって病状が
治まった寛解状態にあった。通所していた施設(以下「本件施設」という。)にお
ける不適切な介入により精神的に不安定になっていたが,幻覚や幻聴,妄想等(以
下「幻聴等」という。)はなかった。」との鑑定内容は信用できる。
(イ) 被告人は,本件犯行前,本件施設の職員(以下「施設職員」という。)に対
し,電話で「人を殺して自分も死ぬ」などと述べ,本件犯行後には,本件施設の通
所者で思いを寄せていた女性(以下,「通所者A」という。)にLINEメッセー
ジで「ありがとう」という言葉とスタンプを送信した後,施設職員に電話で「とう
とうやったよ。本当に刺したよ。」と述べている。このような通所者Aや施設職員
とのやりとりの間,被告人は幻聴等につき全く言及しておらず,このことは幻聴等
の不存在を裏付けるものといえる。また,被告人は,本件犯行の際,包丁3本をそ
れぞれタオルでくるんだものを手提げ鞄に入れて自宅を出て,最初に見つけた被害
者乙の後をつけ,バス停についた後に犯行に及んでいる。このような合理的な行動
経過からすると,被告人は,自己の意思,判断によって行動していたことがうかが
え,幻聴等に支配されていたとは考え難い。
(ウ) 被告人の捜査段階の供述調書には,幻聴等をうかがわせる記載がない一方,
誰も相手にしてくれないと思って精神的に「しんどい」と感じ,もう死んで消えて
しまいたいと思い,人を殺して死刑になろうと思った旨の供述の記載がある。その
うち,誰からも相手にされずしんどいと感じたという点は,当時の被告人の置かれ
た状況から自然なものであるし,通所者AとのLINEメッセージのやりとりや施
設職員との会話とも整合しており,本件犯行に至った心情を述べるものとして自然
であって信用できる。
(エ) 以上のような甲医師の鑑定の内容,被告人の犯行前後の行動からすれば,犯
行当時,被告人には犯行に影響を及ぼすような幻聴等はなく,被告人の統合失調症
が本件犯行に与えた影響はない。
イ 知的障害の本件に対する影響について
甲医師の証言によれば,被告人には中等度の知的障害(軽度知的障害に近い知的
レベル)があり,本件犯行には知的障害による想像力の弱さが影響していることが
認められる。被告人が通所者Aに送信したLINEメッセージの内容等からすれば,
被告人は,少なくとも,殺人が重大な犯罪であり,許されない行為であることを明
確に認識しており,物事の善悪を弁識する能力が大きく低下していたとはいえない。
また,誰にも相手にされず「しんどい」と感じた被告人が,現状を打開するための
適切な手段を

主文(判決文より)

本件控訴を棄却する。
当審における未決勾留日数中120日を原判決の刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。