事件の基本情報
| 裁判所 | 広島高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和1(う)146 |
| 判決日 | 2020-02-18 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 刑法234条 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点に対する判断)の項の説示の要旨 ⑴ 本件各犯行の経緯と本件各公館の対応については,原判決が(争点に対する 判断)の項の2で説示するとおりである。このうち,同2⑷の本件各公館の対応は, 要するに,前記①,③では開封して内容物を確認した上で警察への通報等を行った が,前記②,④,⑤では封筒の外観等から不審物と判断し,警察への通報等を行っ た後,警察官立会の下で開封して内容物を確認したというものである。 ⑵ 原判決は,この事実関係を前提にして,被告人の本件郵送行為が「威力を用 いて」に該当することについて,(争点に対する判断)の項の3⑵において,次の とおり説示している。 「本件封筒は,宛先だけで差出人の記入がなく,その外からは内容物が分からな い体裁のものであった。開封前から異臭がするものもあったが,開封して初めて人 糞ようの汚物が入っていることが確認できた。人糞はそれ自体が直ちに有害なもの ではないとしても,一般に,他人の糞便には,汚物として嫌悪感を抱き,糞便が入 った封筒が一般の郵便物として郵送されてくることなどは誰も思いもよらない異常 な出来事であって,そのような汚物が入った封筒を目にしたりするだけでも不快で, 予期せずに手に取ったりすれば強い嫌悪感を感じるものである。そして,そのよう な異常な行動に出る送り主の強い悪意を窺わせる点でも不安を高じさせる。また, 公館はその外国を代表する施設であり,公館に糞便を送りつけることは,その国へ の侮辱を意味するから,公館の職員としては,公館の安寧や尊厳を守るためにも, このような行為の目的,政治的,組織的な背景の有無を考察し,前述したようなさ らなる加害行為にエスカレートするおそれも警戒して,警察への通報や,本国の上 級機関等の関係各機関への報告等を行うか否かの検討を差し迫って求められること になる。さらに,一見人糞のように見えても,人体に有害な物質が仮装されていな いかどうかは,科学的な分析を経ないと確定できないから,公館の職員は,『アメ リカ炭疽菌事件』のように,公館を攻撃するために危険物が送られてきたのではな いかとの不安や危険を感じることもあろう。このように,公館に糞便を送り付ける 行為は,これを受け取った公館の職員が強い嫌悪感を抱いたり,危険物が送られて きたのではないかと不安を覚えたり,あるいは,公館の関係職員は,他の業務を差 し置いても,このような不審物に対する警察や関係機関へのしかるべき対応を余儀 なくされることになる。このような意味で,公館に糞便を送付した本件行為は,公 館の関係職員らの自由な意思を著しく制約するに足りるものであり,威力に該当す る。」 この原判決の説示に,論理則,経験則等に照らし不合理な点はない。 ⑶ この説示に関し補足すると,本件郵送行為は,開封後,その内容物を確認し た本
主文(判決文より)
本件控訴を棄却する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。