重過失失火,重過失致死傷被告事件

事件の基本情報

裁判所広島高等裁判所
事件番号令和2(う)140
判決日2021-04-22
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は,本件行為と本件火災及び死傷結果との間に因果関係
が認められるか,仮に因果関係が認められる場合,本件行為を行った被告人に重
過失が認められるか,という2点であるとした上,要旨以下のとおり判示して,
因果関係及び被告人の重過失が認められると判断し,被告人には重過失失火罪及
び重過失致死傷罪が成立するとした。
⑴ 因果関係について
ア 信用できるC及びDの各供述によれば,本件で着火した段ボール箱(段ボ
ール箱複数個を入れ子のように重ねた状態のもの。以下「本件段ボール箱」
という。)の状態や床面の状況等の条件が整った場合には,本件行為によっ
て本件段ボール箱に着火した可能性があると認められる。
イ 本件火災の出火箇所は,本件スペースのペール缶が置かれていた場所より
も北側の場所であったと認められ,被告人が本件行為を行った場所と一致す
る。また,被告人は午後9時40分前後頃に本件行為を行ったと認められる
ところ,炎が大きく立ち上って火災報知器が鳴るなどし,被告人が119番
通報した時刻は午後9時47分であるから,本件行為と出火時刻は近接して
いる。
ウ 信用できるEの供述によれば,本件火災について,冷凍庫や冷暖房室外機
からの出火及び漏電,ガス漏れ等による出火の痕跡はなく,たばこによる出
火の可能性もない。
本件スペースは本件建物南側の道路に面しており,誰でも立入りが可能で
あるが,本件当日の午後9時38分頃から午後9時44分頃までの間に上記
道路を通過した通行人のうち4名と,午後9時46分頃に上記道路を通過し
て本件火災を発見したFは,いずれも不審な人物を見掛けておらず,付近に
設置された防犯カメラにも特段不審な人物は写っていない。これら通行人の
目や防犯カメラを避けて本件スペースに立ち入って放火をするのは相当困難
であり,本件行為から火災が発見されるまでの数分の間に,本件行為と正に
同一の場所で第三者が放火をするという偶然の一致が生ずることは現実には
考え難いから,本件火災が第三者の行った放火による可能性は否定される。
エ 以上によれば,本件行為が出火原因であることに合理的な疑いが差し挟ま
れる余地はないから,本件行為と本件火災及び死傷結果との間に因果関係が
認められる。
⑵ 重過失について
ア 被告人は,本件行為当時,火炎放射行為により大きな噴霧火炎が形成され
ることや,本件スペースに可燃物が置かれていることを認識していた。火炎
放射行為によって生じる噴霧火炎及びアルコール噴霧行為により生じる液面
燃焼の火炎は,いずれも強力で大きな熱源であり,被告人が本件行為を行っ
た位置と上記可燃物の位置は,被告人の供述を前提としても,炎が届かない
ほど遠く離れているわけではなく,炎が接する可能性も十分にあった。可燃
物が近くに存在する状況下で大きな火炎を生じる

主文(判決文より)

本件控訴を棄却する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。