大麻取締法違反被告事件

事件の基本情報

裁判所広島高等裁判所
事件番号令和3(う)75
判決日2022-02-24
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点とされず,原審弁護人は執
行猶予付判決を求めていた。
3 法令適用の誤りの主張について
論旨は, 大麻取締法は違憲・無効である(法令違憲), 仮に大麻取締法が
憲法違反ではなくとも,原判決は,大麻の有害性や有用性を改めて正しく再評価
することなく,従前の裁判例と同様に罰則規定を適用して量刑判断をした点にお
いて適用違憲であるといい,原判決に法令適用の誤りがある旨をいう。
そこで,記録を調査して検討する。
⑴ 法令違憲の主張について
所論は,大麻草が使用者に幸福感等をもたらすほか,人は大麻の使用によっ
て思考を深めて自己の思想を発展させて自己実現することができる,被告人に
とって大麻吸引は神への祈りであるから大麻草の栽培も宗教的行為の一環であ
るなどとして,大麻の所持は表現の自由にも資する幸福追求権及び信教の自由
として,大麻の栽培は信教の自由として,それぞれ保障されるとし,大麻の有
害性はたばこやアルコールに比して高いとはいえない一方,医療用大麻や産業
用大麻の存在を考慮すれば大麻の有用性は高度であるとして,大麻の規制自体,
既にその立法事実を失っており許されない,仮に許されるとしても,罰金刑を
設けず懲役刑のみを法定刑として定めた大麻取締法24条1項及び同条の2第
1項の規定(以下,これらをまとめて「本件各罰条」という。)は必要最小限の
規制といえず違憲無効であるなどと主張する。
そこで検討すると,大麻取締法による大麻の所持・栽培の規制の目的は,大
麻の濫用による保健衛生上の危害を防止することにあり,大麻の有害性をその
立法事実としている。この点,最近の国内外における専門家による研究結果等
を踏まえても,大麻に精神依存性があり,長期間の濫用によって記憶や認知に
障害を及ぼし,精神障害を発症するなどの健康被害をもたらす危険性があると
指摘されていること(厚生労働省・「大麻等の薬物対策のあり方検討会とりまと
め」〔令和3年6月25日公表〕3頁等参照)などからしても,上記の立法事実
が失われていないことは明らかである。この結論は,所論の指摘を踏まえても
左右されない。
また,所論は,諸外国においては,大麻を他の薬物に比して特別緩やかに規
制する立法ないし運用がされているところ,日本における大麻規制も同様の方
法で立法目的を達成することが十分に可能である上,本件各罰条の法定刑は懲
役刑のみであることから,大麻取締法による大麻の所持・栽培の規制は必要最
小限を超えているともいうが,諸外国との比較においても本件各罰条の法定刑
が罪刑の均衡を失するほどに重いとは解されないし,これらの罰則の規定にも
かかわらず,近年,大麻事犯の検挙人員が増加傾向にあること(前掲2頁参照)
などからして到底採用できない。
⑵ 適用違憲の主張について
この点に関する所論は,必ずしも明確で

主文(判決文より)

本件控訴を棄却する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。