事件の基本情報
| 裁判所 | 福岡高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成30(ネ)167 |
| 判決日 | 2019-04-15 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 国家賠償法1条1項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点 ⑴ 集団予防接種等とHBV感染との因果関係の有無 ⑵ 除斥期間の経過の有無(除斥期間の起算点) ア B型慢性肝炎の特質等から,除斥期間の起算点は被控訴人らがHBe抗 原陰性慢性肝炎を発症した時であると解すべきか イ 正義・公平の観点から,除斥期間の起算点は被控訴人らがHBe抗原陰 性慢性肝炎を発症した時であると解すべきか ⑶ 損害の発生及びその額 ア 包括一律請求の可否 イ 被控訴人らの損害額 3 争点に対する当事者の主張は,当審における主張を後記4に付加するほかは, 原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の3(原判決16頁15 行目から36頁14行目まで)に摘示のとおりであるから,これを引用する。 4 当審における当事者の主張 争点⑵ア(B型慢性肝炎の特質等から,除斥期間の起算点は被控訴人らがH Be抗原陰性慢性肝炎を発症した時であると解すべきか)について 【控訴人】 ⑴ じん肺事案のように蓄積進行性又は遅発性の健康被害に係る不法行為につ いては,加害行為が終了した後の一定期間を経て損害が発生し,そのときが 除斥期間の起算点となる。その場合,最初に発生した損害がさらに進行・拡 大していくときであっても,実体法上は,最初の損害が発生した時点で将来 生ずるべき損害を含む全損害が発生し,その時点で全損害につき一個の損害 賠償請求権が成立しているため,その時点から将来の損害を含む全損害につ いて,除斥期間が進行する。例外的に,最初の損害発生時ではなく,その後 に新たな除斥期間の起算点を観念し得るのは,質的に異なる新たな損害(異 なる段階の損害)が発生し,その時点で別個独立の新たな損害賠償請求権が 成立したと評価できる場合に限定される。すなわち,最初の損害とは牽連一 体とならない新たな損害が生じた場合に限り,例外的に,その新たな損害が 発生した時点がその損害に係る除斥期間の起算点になると解される。 B型肝炎ウイルス感染による損害については,持続感染,慢性肝炎,肝硬 変,肝がんという病態ないし病状は,医学的にみて類型的に後者が前者より も重いという相違があると理解することができる。しかし,慢性肝炎を更に 細分化して,病態ないし病状が類型的に異なる慢性肝炎が存在するという医 学的知見は存在しない。 HBe抗原セロコンバージョン(HBe抗原陰性かつHBe抗体陽性の状 態になること)が,重要な治療目標の1つとされているのは,これに伴いウ イルスの増殖力が低下し肝炎が鎮静化することが多いからであるが,肝炎が 鎮静化するために重要なのは,あくまでウイルスの増殖力の低下であり,H Be抗原の陰性化は,その指標の1つとしてあげられているにすぎない。H Be抗原が陰性の状態での慢性肝炎における損害と,先行するHBe抗原が 陽性の状態での慢性肝炎における損害とを比較した
主文(判決文より)
1 原判決を取り消す。 2 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。