事件の基本情報

裁判所福岡高等裁判所
事件番号令和2(ネ)575
判決日2022-03-24
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文国家賠償法1条1項、国家賠償法2条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及び争点に関する当事者の主張は,原判決1
9頁17行目の「危険性はないとされている」を「危険性はないとされている。
また,控訴人会社の他の従業員に石綿粉じんに起因する症状はなく,本件体育館
内の石綿粉じんの濃度は低かったと見るべきである」に,23頁3行目の「Dが
り患していた」から4行目の「基づくものである旨」までを「Dは石綿肺にり患
していた旨」にそれぞれ改め,3のとおり当審における控訴人らの補充主張を加
えるほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1から4まで
(原判決2頁22行目から38頁24行目まで)に記載のとおりであるから,こ
れを引用する。
3 当審における控訴人らの補充主張
控訴人ら
ア ① Dの乾燥肺重量1g当たりの石綿小体数は,1000本未満であり
(平成18年11月8日の測定値は469本〔左肺〕,平成19年7月24
日のそれは430.6本〔左肺〕,平成25年11月20日のそれは121
本〔右肺〕である。),クリソタイルが石綿小体を形成しにくいことや,ク
リソタイルは,クリアランス率が高く,石綿ばく露後40年で2分の1ない
し5分の1に減少するとされていることを踏まえても,Dの石綿ばく露は一
般大気環境におけるそれにとどまること,② 本件胸膜肥厚は,石綿ばく露
により発生する典型的な胸膜プラークとは性状が異なっていて,他の炎症,
外傷等に起因する可能性があることからすると,Dが,高濃度の石綿粉じん
にばく露し,石綿肺にり患したとはいえない。
イ 仮にDが石綿肺にり患していたとしても,Dは,加齢や,慢性心不全に伴
う全身状態不良に起因する嚥下障害により誤嚥を繰り返して,細菌性肺炎
(誤嚥性肺炎)を発症し,これがARDS(基礎疾患等に続発して,症状が
急速に悪化した状態)に進展し,うっ血性心不全の増悪と合併して,急性呼
吸不全により死亡した。ARDSに陥ると,従前の肺機能の状態とは関係な
く,それ自体が死因となり得るのであって,いずれにせよ,Dが石綿肺にり
患したことや,Dが肺がんにり患し,肺の一部(左肺下葉)を切除する手術
を受けたことと,その死亡との間に因果関係があるとはいえない。
控訴人会社
ア 本件胸膜肥厚は,Dの既往である結核性胸膜炎によるもので,石綿ばく露
によるものではない。
また,ARDSは,主に肺内シャント(肺胞内のガスと肺胞毛細血管内の
静脈血が接触せず,ガス交換が行われないまま,血液が心臓に還流する状態)
の増加に起因して発症するのであって,Dに肺機能障害があったとしても,
これがARDSの原因になるわけではない。
イ 仮に,Dが石綿肺にり患したことと,その死亡との間に因果関係があると
しても,Dが死亡した主たる原因は,飽くまでARDS及び細菌性肺炎とい
うべきであり,Dの損害額は,ARDS及び細菌性肺

主文(判決文より)

1 本件各控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。