保護責任者遺棄致死

事件の基本情報

裁判所福岡高等裁判所
事件番号令和4(う)101
判決日2022-07-27
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点となり、被告人は、原審公判廷で、「被害者は、死亡前日までいつも
どおり食事を取ったり、動いたりしていた。入浴後、被害者の右肩付近に虫刺され
のような傷が五、六個あるのに気付き、痛くないか確かめるために触ってみたが、
笑っていた。翌日未明、被害者の泣き声で目覚め、被害者を見ると息をしていなか
った。その時まで被害者の異常には全く気付かなかった」旨供述したが、原判決は、
被告人には、上記認識があったと認めて被告人を有罪とした。
論旨は、要するに、被告人には被害者の要保護状態についての認識があり、
故意があったと認めた原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認が
ある、というのである。
2 原判決の概要
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原判決は、論旨と同趣旨の原審弁護人の主張に対し、要旨、以下のとおり判断し、
被告人には、保護責任者不保護の故意に欠けるところはないとした。
被害者は、低出生体重児で、その後も同月齢の乳幼児の平均体重を総じて下
回る発育状況であり、1歳になって間もない時期(平成30年8月)に撮影された
動画にも、手足が細く、痩せているように見える被害者が映っていること、被告人
が、10月11日、友人に対し、被害者の成長が遅いため、立ったり、歩いたり、
しゃべったりせず、寝てばかりいる旨のメッセージを送信していること、人の体格
や体重を含む心身の状態については、日々少しずつ変化していくことも多く、毎日
被害者と接している場合にはその変化に気付きにくい面があることからすると、被
告人が、10月下旬頃からしばらくの間は、被害者の痩せ方や動き方の変化、ある
いは身体の腫れや傷等に気が付いたとしても、異常で重篤な状態であるとの認識ま
では持てなかった可能性は否定できない。
しかし、遅くとも11月下旬頃(ただし、救命可能時期である同月28日頃まで)
には、被害者には小さな円形の傷が多数生じていたほか、それが原因で発症した蜂
窩織炎により右腕及び左膝は広範囲に赤く腫れ上がり、全身状態が悪化して衰弱し
ていたとみられるのであって、そのような状況は、一見して明らかに異常であると
いえるから、被害者の主たる監護者であった被告人においても、遅くともその頃ま
でには、被害者のそのような要保護状態を認識していたと推認するのが合理的であ
る。
原審弁護人は、①被告人が、被害者の要保護状態を認識しながら、虐待の事
実を隠すために、医師による診察・治療を被害者に受けさせる保護行為(以下「本
件保護行為」という。)を行っていなかったのであれば、12月1日に自ら119番
通報するという虐待の事実が発覚しかねない行為に及んだことの合理的説明が困難
である、②被告人は、知的障害による状況認知等の乏しさのため、被害者の要保護
状態に気付かなかった可能性がある旨主張する。
しかし、①については、被告

主文(判決文より)

本件控訴を棄却する。
当審における未決勾留日数中80日を原判決の刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。