事件の基本情報
| 裁判所 | 福岡高等裁判所 那覇支部 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和6(う)15 |
| 判決日 | 2024-11-26 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
- 釜井景介(検察官)/沖縄弁護士会
争点(判決文より)
争点とされた。 原判決は、【一部無罪について・法令の適用に関する補足説明】として、要 旨次のとおり説示し、犯罪収益等取得事実仮装罪につき罪とならないものと判 断した(なお、原判決は、前記詐欺罪及びその余の窃盗罪2件につきいずれも 25 有罪と認め、被告人に対し、懲役1年2月、執行猶予3年間の刑を言い渡した。)。 (1) 犯罪収益等の仮装行為を、犯罪収益等を生み出す当初の犯罪行為と別途に 処罰すべき実質的な理由と必要性は、この仮装行為が、被害者や捜査機関に よる犯罪収益等の追及・回復を困難にさせて、犯罪収益等の保持、運用を容 易にし、犯罪収益等が将来の犯罪活動に再投資されたり、事業活動に投資さ れて合法的な経済活動に悪影響を及ぼすなどのおそれを新たに生じさせ、あ 5 るいは、既に存在しているおそれを高めるところにあるものと解される。 そうすると、犯罪収益等に関連して虚偽の外観を作出する行為であっても、 一般的に、このような性質をおよそ有しないものは、仮装行為に該当しない というべきである。 (2) ここで、検察官の主張する①売上票への署名も含めた被告人の一連の言動 10 という虚偽の外観は、財物であるたばこ2点が交付され、犯罪収益が発生す るのとほぼ同時に失われているのであって、この外観を作出する行為に前記 のような犯罪収益等の追及・回復を困難にするなどの性質を見出すことはで きない(このような言動による欺罔行為が直ちに犯罪収益等の仮装行為にも 該当するというのであれば、組処法の制定により、詐欺罪の法定刑に罰金刑 15 や、懲役刑と罰金刑の併科刑を追加したのと実質的に同義となる起訴裁量の 行使も可能であったことになろうが、立法や改正の経緯等をみてもそのよう な趣旨はうかがわれない。)。 (3) 続いて、犯罪収益が発生した時点以降も存続する、②売上票の存在及び内 容という虚偽の外観を作出する行為について検討する。検察官は、この行為 20 が、犯罪収益等の帰属を仮装するものである、正当な商品取引を装う形で犯 罪収益等の取得原因について仮装するものであると主張する。 しかし、クレジットカードの不正利用による詐欺事件で、犯罪収益等がク レジットカードの名義人に帰属するというのは背理であるから、帰属の仮装 をいう主張は採用できない。この点を措いて検討すると、関係証拠によれば、 25 売上票の内容は、電子的に作成された帳票のうち、カード会社用の売上票に 被告人がクレジットカード名義人の姓である「A」と記載したものであるこ とが認められる。一般的に、店舗においてクレジットカードシステムで決済 するには、近時は他の方法も存在するが、売上票に署名する方法が基本的か つ伝統的といえるところ、本件のような、クレジットカード名義人の姓が冒 用された売上票の存在及び内容という外観は、他
主文(判決文より)
原判決を破棄する。 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。