損害賠償等請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所知的財産高等裁判所
事件番号平成28(ネ)10050
判決日2016-11-10
分類知的財産 / 著作
判決種別判決
判決文が挙げた条文民法709条、著作権法2条1項1号、著作権法2条1項15号、著作権法21条、著作権法115条
当事者被控訴人 株式会社朝日新聞社

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点(1)(本件被控訴人記載1及び2が控訴人の複製権又は同一性保持権を
侵害するか)について
(1) 著作物性について
ある創作物が著作権法による保護の対象となるためには,それが「著作物」であ
ること,すなわち,「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1
号)であることを要する。
また,複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再
製することをいうところ(著作権法2条1項15号参照),著作物の複製とは,既存
の著作物に依拠し,これと同一のものを作成し,又は,具体的表現に修正,増減,
変更等を加えても,新たに思想又は感情を創作的に表現することなく,その表現上
の本質的な特徴の同一性を維持し,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質
的な特徴を直接感得することのできるものを作成する行為をいうと解するのが相当
である。さらに,著作物の翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の
本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,
新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作
物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる別の著作物を創作する行為
をいい,既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデ
ア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分
において既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には翻案には当たらないと
解するのが相当である(最高裁平成11年(受)第922号同13年6月28日第
一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。
このように,複製又は翻案に該当するためには,既存の著作物とこれに依拠して
創作された著作物との共通性を有する部分が,著作権法による保護の対象となる思
想又は感情を創作的に表現したものであることが必要である。そして,「創作的」に
表現されたというためには,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必
要ではなく,作者の何らかの個性が表現されたもので足りるというべきであるが,
他方,表現が平凡かつありふれたものである場合には,作者の個性が表現されたも
のとはいえないから,創作的な表現であるということはできない。
(2) 判断
以上を前提に,本件控訴人記載の著作権侵害の成否を判断するに,本件において
は,本件控訴人記載と本件被控訴人記載1及び2とは,表現上「重力波と想定され
る」,「波動による(もの)」との部分が共通性を有するといえる。そして,上記共通
性を有する部分は,EMの効果に関する控訴人の自然科学上の学術的見解を簡潔に
示したものであり,控訴人の思想そのものであって,思想又は感情を創作的に表現
したものとはいえないから,著作権法において保護の対象となる著作物に当たらな
い

主文(判決文より)

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。