生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所福岡高等裁判所
事件番号令和3(行コ)24
判決日2025-01-29
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文国家賠償法1条1項、憲法25条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は、決定処分取消請求について、①訴えの適法性の有無、②違法
性の有無であり、国家賠償請求について、③国家賠償責任の有無等である。
4 争点①(訴えの適法性の有無)についての当事者の主張
(被控訴人北九州市の主張)
控訴人23、24は、審査請求期限後に審査請求をしたので、同人らの決定
処分取消請求に係る訴えは不適法である。
(控訴人23、24の主張)
控訴人23、24が審査請求をしたのは、期限のわずか2日後にすぎず、保
護変更決定の効力発生日よりも前であった。福岡県知事はこれを受理して審理
し、棄却裁決をした。したがって、上記訴えは瑕疵が治癒され、審査請求を前
置したといえるから、適法である。
5 争点②(違法性の有無)についての当事者の主張
⑴ 判断枠組み
(控訴人らの主張)
ア 憲法25条や経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(以下
「社会権規約」という。)2条、9条、11条、12条、社会権規約委員
会一般的意見19第42項は、社会保障制度の後退を原則として禁じてい
る。そうでなくても、上記各規定や生活保護法1条、3条、8条の各規定
の趣旨に加え、最低限度の生活は客観的な調査や資料に基づき一応決定し
得ること、生活保護制度は各種社会保障制度と連動していることを考慮す
れば、厚生労働大臣が生活扶助基準を引き下げる旨改定する場合の裁量権
の範囲は極めて狭い。
また、生活保護法8条、9条は、保護の考慮事項として生活的要素だけ
を挙げているので、財政事情、国民感情、選挙公約等の生活外的要素を考
慮することは許されない。
イ そうすると、厚生労働大臣は、生活扶助基準を引き下げる旨の改定に当
たり、生活外的要素を考慮し、又は統計や専門的知見等に基づかずに行う
ことは、裁量権を逸脱又は濫用したものとして、憲法25条や生活保護法
1条、3条、8条に反し、違法である(最高裁平成24年2月28日判決、
同年4月2日判決)。
(被控訴人福岡県らの主張)
ア 憲法25条や社会権規約、同委員会一般的意見は、国民に具体的な権利
を付与しておらず、厚生労働大臣の裁量権を制約していないので、社会保
障制度の後退を禁じていない。また、健康で文化的な最低限度の生活は、
抽象的かつ相対的な概念であり、具体化には専門技術的な考察と政策的な
判断を要すること、生活保護制度と各種社会保障制度の連動は義務付けら
れていないことを考慮すれば、厚生労働大臣が生活扶助基準を引き下げる
旨改定する場合の裁量権の範囲は広い。
また、生活保護法8条、9条は、保護の基準の内容について定めていな
いので、財政事情や国民感情、選挙公約等の生活外的要素を考慮すること
を禁じていない。
イ このため、厚生労働大臣は、生活扶助基準を引き下げる旨の改定をする
に当たり、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を

主文(判決文より)

1 控訴人23、24の各控訴をいずれも棄却する。
2 原判決中前項の控訴人2名を除く控訴人らに関する部分を次のとおり変更す
る。
⑴ 別紙処分等一覧表の「処分行政庁」欄記載の処分行政庁が「処分日」欄記
載の日付で「控訴人」欄記載の上記控訴人らに対してした各保護変更決定処
分を取り消す。
⑵ 上記控訴人らのそのほかの請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、別紙訴訟費用目録のとおりとする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。