特許権侵害差止請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所知的財産高等裁判所
事件番号平成28(ネ)10031
判決日2016-12-08
分類知的財産 / 特許
判決種別判決
判決文が挙げた条文特許法100条1項
当事者控訴人 日本化薬株式会社

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点
被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか。
ア 構成要件B,F及びGの「緩衝剤」の充足性
イ 構成要件B及びDの「安定」の充足性
本件特許に無効理由があるか。
ア 乙1発明に基づく新規性又は進歩性欠如の有無
イ 乙6発明に基づく新規性欠如の有無
ウ 記載要件(サポート要件及び実施可能要件)違反の有無
訂正の対抗主張の成否
ア 訂正要件違反の有無
イ 本件訂正により無効理由が解消されるか。
ウ 本件訂正発明に係るサポート要件違反の有無
被控訴人による本件特許権の行使が信義則に反するか。
4 争点に関する当事者の主張
構成要件B,F及びGの「緩衝剤」の充足性)について
(被控訴人の主張)
本件発明の「緩衝剤」には「シュウ酸」が含まれるところ,被告製品は,
構成要件Gのモル濃度の範囲内のシュウ酸を含んでいるから,構成要件B,
F及びGの「緩衝剤」を充足する。
これに対し,控訴人は,本件発明の「緩衝剤」としての「シュウ酸」は,
オキサリプラチンの分解によって溶液中に生じるシュウ酸(以下「解離シュ
ウ酸」という。)を含まず,オキサリプラチン溶液に外部から添加されるシ
ュウ酸(以下「添加シュウ酸」という。)に限定されるから,シュウ酸が添
加されていない被告製品は構成要件B,F及びGの「緩衝剤」を充足しない
旨主張する。しかし,以下に述べるとおり,そのように限定して解釈すべき
理由はなく,本件発明の「緩衝剤」としての「シュウ酸」には,解離シュウ
酸も含まれると解すべきである。
ア 特許請求の範囲の記載
本件発明の特許請求の範囲には,オキサリプラチン溶液組成物に「包含」
される「緩衝剤の量」のみが規定され,「添加」という文言は含まれてい
ないところ,包含とは「つつみこみ,中に含んでいること」を意味するか
ら,「緩衝剤の量」がオキサリプラチン溶液組成物に現に含まれる全ての
緩衝剤の量であることは明らかである。
したがって,本件発明の「緩衝剤」としての「シュウ酸」には,添加シ
ュウ酸のみならず,解離シュウ酸も含まれる。
イ 本件明細書における定義
本件明細書においては,「緩衝剤の用語」について,「本明細書中で用い
る場合,オキサリプラチン溶液を安定化し,それにより望ましくない不純
物,例えばジアクオDACHプラチンおよびジアクオDACHプラチン二
量体の生成を防止するかまたは遅延させ得るあらゆる酸性または塩基性剤
を意味する。」(段落【0022】。下線は被控訴人による。)と明確に定義
されており,これによれば,本件発明の「緩衝剤」は,上記不純物の生成
を防止又は遅延させ得るものであれば足りる。
しかるところ,オキサリプラチン溶液中の解離シュウ酸は,以下のと
おり,上記不純物の生成を防止又は遅延させ得るものといえるから,本件
発明の「緩衝剤」に当たる。
オキサリプラチンを水

主文(判決文より)

1 原判決を取り消す。
2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。
4 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30
日と定める。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。