著作権侵害および名誉侵害行為に対する損害賠償控訴事件

事件の基本情報

裁判所知的財産高等裁判所
事件番号平成28(ネ)10091
判決日2017-01-24
分類知的財産 / 著作
判決種別判決
判決文が挙げた条文民法723条、著作権法115条

この事件の代理人

  • 秋山幹男(被告代理人)/第二東京弁護士会

争点(判決文より)

本件の争点及び争点に関する当事者の主張は,以下に当審における控訴人の補充
主張とそれに対する被控訴人の反論を加えるほか,原判決の「事実及び理由」欄の
第2の2及び3に記載のとおりである。
(1) 当審における控訴人の補充主張
ア 名誉毀損の成否について
(ア) 社会的評価の低下の有無について
a 控訴人記事のうち,一般読者の普通の注意と読み方を基準として判
断される控訴人の社会的評価を左右する部分は,多額の税金が使われている公益性
の高い東京国際映画祭について,これを運営する公益財団法人の理事と関係が深い
複数の企業が,独占的かつ5年連続して事業委託を受けている実態など,公共の利
害に係る事項の記載である。そのような控訴人記事において不可欠な重要な事実の
記載を欠く紹介をした場合,一般読者は控訴人記事との同一性を体感することはで
きず,控訴人記事への信頼を毀損するから,被控訴人記事が上記重要な事実の記載
を欠く紹介をしたことは,控訴人の社会的評価を低下させるものである。
b 被控訴人記事の「日本映画全般のがっかりするような国際的な地位」
という記載は,一般の読者の普通の注意と読み方を基準としても,控訴人記事にお
いて控訴人が日本の映画作品やその創作性,創作に関わる映画制作者を含む国際的
地位を「がっかりするほど低い」と評価,評論したという事実を摘示したことにな
るが,控訴人記事にそのような事実摘示はない。そして,映画プロデューサーであ
る控訴人が説得力のある理由や根拠を示すこともなく,他のアーティスト作品や創
作性の国際的地位が低いと評価,評論したという虚偽の事実は,控訴人の社会的評
価を低下させるものである。
c 被控訴人記事は,控訴人記事が2015年東京国際映画祭を受けて
書かれたものであるかのように紹介しているが,控訴人記事は,同年の東京国際映
画祭の前に発売されたものである。そして,映画プロデューサーである控訴人が,
被控訴人が大幅に改善されたと批評した同年の東京国際映画祭を受けてもなお残る
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毎年恒例の東京国際映画祭の酷評を行ったという虚偽の事実は,控訴人の社会的評
価を低下させるものである。
被控訴人は,控訴人記事が指摘した問題点が2015年映画祭にも当てはまると
主張するが,控訴人記事が指摘する「映画祭事業費への税金拠出額とその使われ方」,
「クールジャパンと連携して映画祭事業費が跳ね上がったかどうか」,「公益性の高
いイベントを公益財団法人の理事に関係のある企業や独占的に連続して受託する一
部企業の既得権益構造が存在したか」等の問題点は,毎年6月頃に公益財団法人ユ
ニジャパンの前年度の決算報告書が公表されるまで確定しないものであり,被控訴
人記事が掲載された2015年11月13日の時点では,2015年映画祭に上記
問題点が当てはまる

主文(判決文より)

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。