はじめに
特許侵害訴訟は、知的財産訴訟の中でも最も複雑で専門性の高い分野です。勝訴するためには、法律知識だけでなく技術的な理解と戦略的なアプローチが不可欠です。
ポイント1: 早期の証拠保全
特許侵害を発見したら、まず証拠の保全が最優先です。
- 侵害品の購入・保管: 実際に侵害品を入手して物理的に保管
- ウェブサイトのスクリーンショット: 販売ページやカタログのスクリーンショットを日付入りで保存
- 公証人による証拠保全: 重要な証拠は公証人の確認を受ける
- 技術分析レポート: 侵害品と特許クレームの対比表を作成
ポイント2: 特許クレームの正確な解釈
訴訟の勝敗を分けるのは、特許クレーム(特許請求の範囲)の解釈です。
クレーム解釈の重要性
特許のクレームは、保護される発明の範囲を定義します。クレームの各構成要件が侵害品にすべて含まれている場合に、特許侵害が成立します。
均等論の活用
相手が特許クレームの文言を巧みに回避している場合でも、「均等論」によって侵害が認められることがあります。均等論の5要件を満たすかどうかの検討が重要です。
ポイント3: 無効論への対策
被告側は、特許の有効性を争う「無効の抗弁」を主張することが一般的です。
- 先行技術調査: 自社特許の有効性を事前に確認
- 補正・訂正の検討: 無効理由が見つかった場合の訂正審判の準備
- 複数特許での攻め: 1つの特許が無効化されても他の特許で保護
ポイント4: 損害額の立証
勝訴しても、損害額の立証が不十分では十分な賠償を得られません。
損害額の算定方法
- 逸失利益: 侵害がなければ得られたはずの利益
- 侵害者の利益: 侵害者が得た利益の額
- 実施料相当額: ライセンス料に相当する額
実務上のポイント
- 会計資料の早期開示請求
- 専門家による損害算定レポートの準備
- 弁護士費用の請求(認められる場合あり)
ポイント5: 経験豊富な弁護士の選択
特許訴訟は極めて専門的な分野であり、弁護士の経験と実績が勝敗に直結します。
弁護士選びの基準
- 特許訴訟の担当件数: 過去5年間で何件の特許訴訟を担当したか
- 対象技術分野の理解: 自社の技術分野に詳しいか
- 知財高裁での経験: 控訴審まで見据えた戦略が立てられるか
- チーム体制: 弁理士との連携体制があるか
弁護士みつかるの弁護士検索機能では、公開判例データから弁護士の特許訴訟実績を確認できます。弁護士選びの参考にご活用ください。
まとめ
特許侵害訴訟は長期戦になることも多く、初期段階からの戦略的なアプローチが重要です。証拠保全、クレーム解釈、無効論対策、損害立証、そして適切な弁護士選びの5つのポイントを押さえることで、勝訴の可能性を高めることができます。