はじめに
2025年も知的財産分野では多くの重要判決が出されました。本記事では、実務に影響を与える注目判例をピックアップして解説します。
特許分野の注目判例
AI関連発明の特許適格性
AIを活用した発明の特許適格性に関する判断が注目を集めています。特に、AI学習モデルそのものではなく、AIを活用した具体的な技術的課題の解決手段としての発明が保護の対象となる傾向が見られます。
標準必須特許(SEP)のライセンス交渉
通信技術分野での標準必須特許に関する訴訟が増加しています。FRAND条件(公正、合理的かつ非差別的な条件)でのライセンス交渉義務について、裁判所が具体的な基準を示すケースが出てきています。
均等侵害の判断基準
均等論の第5要件(意識的除外)の判断について、出願経過を詳細に検討した判決が出されています。補正の経緯だけでなく、出願人の意図を総合的に考慮する傾向が見られます。
商標分野の注目判例
メタバース上の商標使用
デジタル空間での商標使用に関する新しい判断が出されています。メタバース上での商品販売やサービス提供における商標権の効力範囲が議論されています。
地域ブランドの保護
地域団体商標や地理的表示(GI)に関する訴訟で、地域ブランドの保護範囲が明確化されるケースが増えています。
著作権分野の注目判例
生成AIと著作権
生成AIが出力したコンテンツの著作物性や、AI学習データとしての著作物利用の適法性について、重要な判断が示されています。
キーポイント
- AI生成物は、人間の創作的関与の程度によって著作物性が判断される
- 学習データとしての利用は、著作権法30条の4の「非享受利用」に該当するかが争点
- 出力物が既存著作物と類似する場合の侵害判断基準
プラットフォームの責任
動画共有プラットフォームやSNSにおける著作権侵害コンテンツに対する、プラットフォーム事業者の責任範囲が議論されています。
不正競争分野の注目判例
営業秘密の保護
テレワーク環境下での営業秘密管理の在り方について、裁判所が「秘密管理性」の判断基準を示す判決が出されています。
データの保護
限定提供データの保護に関する不正競争防止法の規定を適用した事例が出始めています。
実務への影響
これらの判例から、以下の実務上のポイントが浮かび上がります。
- AI関連の法的リスク管理: AI活用に伴う知財リスクの事前評価がますます重要に
- デジタル環境での権利保護: メタバースやプラットフォーム上での知財保護戦略の構築
- 営業秘密管理の強化: テレワーク環境に対応した秘密管理体制の整備
- ライセンス戦略の見直し: SEP関連の判例を踏まえたライセンス交渉の準備
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