はじめに
20歳未満の少年(未成年者)が犯罪行為を行った場合、成人とは異なる手続きで処理されます。少年法は「少年の健全な育成」を目的としており、刑罰よりも教育・更生に重点が置かれています。
本記事では、少年事件の手続きの流れ、弁護士の役割、保護処分の種類を解説します。
少年事件の基本知識
少年法の対象
少年法が適用される「少年」とは、20歳未満の者をいいます(少年法第2条)。ただし、2022年の改正により、18歳・19歳は「特定少年」として一部の扱いが異なります。
成人事件との違い
- 全件送致主義: すべての事件が家庭裁判所に送致される
- 非公開: 少年審判は非公開で行われる
- 教育的配慮: 刑罰よりも更生・教育が重視される
- 実名報道の制限: 少年の推知報道は原則禁止(特定少年は例外あり)
少年審判の流れ
1. 捜査段階
少年が犯罪の嫌疑を受けると、警察による捜査が行われます。14歳以上の少年は逮捕・勾留される場合があります。
2. 家庭裁判所への送致
捜査が終了すると、検察官はすべての事件を家庭裁判所に送致します(全件送致主義)。
3. 観護措置
家庭裁判所は必要に応じて、少年を少年鑑別所に収容する「観護措置」を決定します。期間は通常2週間、最大8週間です。
4. 調査
家庭裁判所調査官が少年の生活環境、性格、犯罪の原因などを調査します。この調査結果は審判の重要な資料となります。
5. 少年審判
家庭裁判所の裁判官が審判を行います。審判は非公開で、少年、保護者、付添人(弁護士)が出席します。
6. 処分の決定
審判の結果、以下のいずれかの処分が決定されます。
保護処分の種類
保護観察
社会内で更生を図る処分です。保護観察官や保護司の指導を受けながら、通常の社会生活を送ります。最も多い処分です。
少年院送致
少年院に収容して矯正教育を行う処分です。収容期間は原則1年以内ですが、事件の重大性により異なります。
児童自立支援施設送致
児童自立支援施設に入所させる処分です。主に年少の少年や、家庭環境に問題がある場合に選択されます。
不処分
審判の結果、保護処分の必要がないと判断された場合に決定されます。
検察官送致(逆送)
重大事件の場合、家庭裁判所は事件を検察官に送致し、成人と同様の刑事裁判で裁くことができます。殺人などの重大犯罪では原則逆送となります。
弁護士(付添人)の役割
少年審判における弁護士は「付添人」と呼ばれ、少年の権利を守り、適切な処遇を実現する重要な役割を担います。
1. 少年との面会・相談
鑑別所に収容された少年と面会し、不安を和らげるとともに、今後の手続きについて説明します。
2. 環境調整
少年の家庭環境や学校、就労先などの調整を行い、社会復帰の受け皿を整えます。
3. 被害者対応
被害者との示談交渉や、謝罪の取次ぎを行います。
4. 審判での意見陳述
審判において、少年にとって最も適切な処遇(保護観察等)を裁判官に意見します。
5. 観護措置の取消し請求
不必要な身柄拘束を防ぐため、観護措置の取消しを請求します。
費用について
国選付添人制度
一定の重大事件では、国の費用で弁護士が付添人として選任される「国選付添人制度」があります。
弁護士費用の目安
私選付添人の場合、着手金20万〜50万円、報酬金20万〜50万円程度が一般的です。法テラスの援助制度を利用できる場合もあります。
弁護士に相談するメリット
お子さんが刑事事件を起こした場合、弁護士に相談することで:
- 少年に最適な処遇(保護観察・不処分など)を目指した活動ができる
- 家庭環境の調整を専門家の視点で行える
- 被害者との示談交渉を適切に進められる
- 少年の権利を守り、不当な処分を防ぐことができる
- 少年院送致を回避するための具体的な弁護活動ができる
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